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土地収奪 ~フィリピン・バイオエタノール事業~
オンライン署名:「土地収奪のストップを!」フィリピン政府・日本企業へ要請
<要請書の和訳>
要請書の宛先:(以下のフィリピン政府関係者)
大統領 Benigno S. Aquino III氏
農業省 長官Proceso J. Alcala氏
農地改革省 長官Virgilio R. Delos Reyes氏
環境天然資源省 長官 Ramon Jesus P. Paje氏
下院 農業・食料委員会 委員長Mark Mendoza氏
下院 農地改革委員会 委員長Pryde Teves氏
下院 天然資源委員会 委員長Francisco Matugas氏
下院 人権委員会 委員長Rene Relampagos氏
上院 農業・食料委員会 委員長 Kiko Pangilinan氏
上院 農地改革委員会 委員長 Gregorio B. Honasan氏
上院 環境天然資源委員会 委員長 Juan Miguel F. Zubiri氏
上院 公正・人権委員会 委員長 Francis Escudero氏
国家先住民族委員会 委員長Roque Agton氏
イサベラ州知事 Faustino Dy III氏
イサベラ州サン・マリアノ町長 Edgar Go氏
ランド・バンク 社長 兼 CEO Gilda E. Pico氏
Cc: (以下の関係企業)
Green Future Innovations社 社長 R. P. Bantug氏
Green Future Innovations社 工場総責任者 L. Villa-Abrille氏
Ecofuel Land Development社 副社長(オペレーション担当) J. E. Tampo氏
伊藤忠商事株式会社 代表取締役社長 岡藤 正広 氏
日揮株式会社 代表取締役会長 兼CEO 竹内 敬介 氏
日本とフィリピンの企業連合体であるグリーン・フューチャー・イノベーション社(GFII)がイサベラ州サン・マリアノ町で進めるバイオエタノール事業が、同地域の農民・先住民族の土地権や生計手段、食料安全保障、食料自給、そして、環境にもたらす影響に関し、食料主権に関する人民連合(PCFS)、イボン財団・国際部、アジア農民連合(APC)、フィリピン農民連合(KMP)、および、イサベラ州農民組織(DAGAMI)が最近、
国際NGO現地調査団を派遣しました。同NGO調査団の指摘している懸念事項に緊急に対応するよう、あなたがたの注意を喚起します。
エタノール精製工場や発電所、また、第一級農地や再生林地域に広がる11,000ヘクタールの(サトウキビ単一栽培の)大農園を伴う同バイオ燃料事業は、2012年3月までに操業を開始する予定です。
これらの地域では、サン・マリアノ町や近隣の町において数千もの農民が、当地伝来種の米、トウモロコシ、また、野菜や様々な果物を収穫しており、主要な生計手段・収入源となっています。長期にわたる土地権や従来からの占有者/耕作者を政府が認めないため、多くの家族は、土地所有の証明書を持っていません。その代わり、政府当局は、土地に対する不当、かつ、支払い不可能な料金を支払うことを求めたり、その一連の流れで、(土地)差押えの通知を送ってきたりしています。
このバイオエタノール事業が同地域に入ってきたことにより、これらのコミュニティーは、土地収奪や土地投機、また、土地権利取得における詐欺行為に対し、ますます脆弱な立場に置かれています。もし同事業がこのまま進められれば、最終的には、これらの地元住民の多くが、立ち退かざるを得ないのが現実です。
数千ヘクタールのサトウキビ単一栽培を伴う、バイオ燃料事業が進められれば、コミュニティーの食料生産能力は著しく減退し、同地域の文化的独自性でもある種の多様性も著しく減少します。また、パラナン森林地帯と同様にシエラ・マドレ自然公園を含む、森林地域や自然保護地域への更なる侵入を誘発します。
これまで多様な作物の栽培に利用されてきた土地や森林地域が転換されれば、著しい炭素排出や生物多様性の喪失につながり、同地域は土砂崩れや洪水に対し、より一層脆弱になっていくでしょう。
土地から追い出され、農業労働者になった農民は、法定最低賃金にまったく満たない賃金、安全装備もないままに有毒な肥料や殺虫剤を散布、職務上の深刻な負傷、医療保険や福利厚生への未加入等々を含む、労働権の深刻な侵害を体験しています。
同バイオ燃料事業への反対の声が強まっているサン・マリアノ町の居住地域で、軍人や軍隊のプレゼンスが高まっているのは、人権と国際人道法の尊重に関する包括協定(CAHRIHL)への明確な違反です。このような状況は、特に、バイオエタノール事業に反対している住民への人権侵害が報告されているケースについては、早急に対処されなくてはなりません。
国際NGO現地調査団の調査結果に基づき、すべての関係政府機関に対し、以下を含む、早急な対応を求めます。
1..農民、農業労働者、また、先住民族の要求に耳を傾け、彼らの人権、また特に彼らを不当な土地権取得や土地収奪の脅威から解放した上で、土地耕作権や所有権を認知・尊重すること。こうした権利が認められるよう、サン・マリアノ町の影響住民は、真の農地改革の実施を求めています。
2.広範囲に及んでいる違法な土地権取得や土地収奪、また、同地域の生態保護地域への侵入について、早急に調査すること。また、そうした陰謀等に関係した者の起訴を促進するため、効果的なメカニズムを構築することで、正義を求めている影響を受けた農民・先住民族を支援すること。
3.バイオエタノール事業によって脅かされている先祖伝来の領域や伝統的な知識・統治体系といった先住民族の権利を認めること。また、国際および国内法に則り、FPIC(自由意思による事前の、情報を十分に提供された上での合意)という権利を認めること。
4.クリーン開発メカニズム(CDM)事業として承認しようとしていることも含め、イサベラ州におけるGFIIおよびEcofuelのバイオ燃料事業に対する国としての支援・支持をすべて撤回すること。また、食料の耕作のために小規模農家が利用してきた第一級農地を非食料の生産用に転換するようなイニシアチブは、他のどんなものであっても支援しないこと。
5.人権と国際人道法の尊重に関する包括協定(CAHRIHL)の規定に従い、サン・マリアノ町のすべてのコミュニティーから軍の駐屯地を撤去すること。バイオ燃料事業に反対しているコミュニティーのメンバーやその協力者らに対する嫌がらせなど、人権侵害を犯したすべての者が起訴されなくてはなりません。
すべての政府関係者が、これらの懸念を真摯に受け止め、自ら積極的かつ早急な対応を取っていくこと、そして、これらの問題事項があなたがたの保証とともに収束していくことを信じています。この問題に対するあなたがたの行動をしっかり見守っていきます。
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