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ベトナム・バンフォン1石炭火力発電事業
国際協力銀行が環境社会配慮ガイドライン違反-住民移転計画を入手せず石炭火力発電事業への融資を決定
バンフォン湾
本日、日本の環境団体4団体による連名で、国際協力銀行に対し、「バンフォン1石炭火力発電事業に関する国際協力銀行の環境社会ガイドライン違反について」と題する意見書を提出しました。
国際協力銀行は本年4月19日、住友商事株式会社がベトナムで進めるバンフォン第一石炭火力発電事業への融資を決定しました 。同案件に関しては、これまでも低効率の石炭火力発電事業への融資を制限するOECD の公的輸出信用アレンジメントへの違反や、事業が現地の大気汚染を悪化させ気候変動を加速させること、地元住民らが適切なコンサルテーションを受けていないことなどを指摘してきました 。
今回、国際協力銀行とNGOの面談において、国際協力銀行が融資決定前の環境レビュー時に、「住民移転計画」を入手していないことが明るみになりました。同銀行のガイドラインによれば、同案件が該当するカテゴリA(環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなプロジェクト)については、借入人等からJBICに対し、大規模な非自発的住民移転または大規模な生計手段の喪失が発生する場合にあたっては住民移転計画(必要に応じ生計回復計画を含む)の提出が必要とされています。バンフォン1では、97世帯(379人)の非自発的住民移転が発生し、ガイドライン上は大規模な非自発的住民移転に相当するため、住民移転計画を入手していないことは、明確なガイドライン違反です。
意見書では、国際協力銀行はバンフォン1への貸付実行をまずは停止し、住民移転計画等の提出を受けた後に環境レビューをやり直すべき、と指摘しました。また、今回のガイドライン違反について精査を行い、再発防止のための措置を講じるよう強く要請しました。
詳しくは意見書をご覧ください。
>意見書はこちら
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バンフォン1石炭火力発電事業に関する国際協力銀行の環境社会ガイドライン違反について
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ
ガイドラインによれば、同案件が該当するカテゴリA(環境への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなプロジェクト)については、借入人等から貴行に、以下の文書が提出されなければならず、貴行はこれらの文書の提出を受けて、環境レビューを行う、とされています。
1)プロジェクトに関する環境社会影響評価報告書及び相手国政府等の環境許認可証明書
2)大規模な非自発的住民移転または大規模な生計手段の喪失が発生する場合にあたっては住民移転計画(必要に応じ生計回復計画を含む)
3)先住民族のための対策を要するプロジェクトの場合にあたっては先住民族計画
同案件は、97世帯(379人)の非自発的住民移転が発生する案件であり、2)に該当しますが、貴行は住民移転計画および生計回復計画を入手しないまま環境レビューを行い、融資を決定しました。
私たちNGOが、貴行が住民移転計画等を入手していないことを確認したのは、2019年5月14日に貴行と持った面談に於いてです。住民移転計画の入手の有無および入手している場合の入手日を尋ねたところ、貴行は住民移転計画を入手していないと回答しました。ベトナム当局が作成した住民移転計画は入手が困難で、同案件の借入人である事業者も入手していないとの説明も貴行からなされました。さらに、生計回復計画を含む事業者による補完的な文書はこれから策定され、貴行は入手「予定」とのことでした。
住民移転計画や生計回復計画が貴行に提出されぬまま、貴行が環境レビューを行ったことは、明確なガイドライン違反です。私たちは、この点を同面談でも貴行に指摘しましたが、その際の貴行の回答は、ガイドライン上、貴行に住民移転計画等の入手義務はないというものでした。貴行がすべての案件において、このような認識で「非自発的住民移転および生計手段の喪失」に係る配慮確認を行っているとすれば、ガイドラインの運用上、大変重大な瑕疵であると私たちは考えます。
また、同案件は2009年にベトナム政府により計画の承認がなされていますが、貴行は上記の面談で、住民移転計画は2010年から2017年にかけて段階的に作成されたと説明し、数年間かけて移転が行われたことが示されました。この数年間については、報道でも度々、補償額の不合意などから移転が進んでいないことが報じられています。さらに、NGOからは、2019年3月8日の貴行との面談で、同案件では移転を拒み、まだ事業予定地内に居住している住民がいること、さらに裁判で係争中であることを伝えています。住民移転をめぐる問題を認識していながら住民移転計画等を入手し確認しなかったことは、輪を掛けて問題です。
上記のガイドライン違反から、貴行はバンフォン1への貸付実行をまずは停止し、住民移転計画等の提出を受けた後に環境レビューをやり直すべきです。また、私たちは、貴行が今回のガイドライン違反について精査を行い、再発防止のための措置を講じるよう強く要請します。
以上
CC:
環境ガイドライン担当審査役 豊永 晋輔様
環境ガイドライン担当審査役 星野 一昭様
環境ガイドライン担当審査役 六車 明様