エンバイロメント・ファイナンス記事
https://www.environmental-finance.com/news/view/2677
NGO 、サハリン事業の補償をシェル社と英国銀行団に求める
2012 年 8 月 1 日
3 つの環境団体は、英銀行のバークレイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(以下、 RBS )、スタンダード・チャータードに対し、 3 行が資金供与を行った大規模石油・ガスプロジェクトによる汚染について、サハリン住民へ補償を行うよう求めた。
石油大手のシェル社も、このロシア太平洋沿岸の島で行われているサハリンⅡ事業への共同出資企業として、今回の申し立てに名を連ねられている。これらの企業が自主的 OECD 多国籍企業行動指針に違反しているとして、火曜日に英国およびオランダ政府へ申し立てが行われた。
「シェル社、 RBS 、スタンダード・チャータード、そしてバークレイズには、 プリゴロドノエ生産基地 が引き起こした環境破壊と地域社会へ与えた被害に対する共同責任がある。」と、米国を拠点とする NGO 、パシフィック・ エンバイロメント の政策担当ディレクターであるダグ・ノーレン氏は述べた。
ロシアのサハリン環境ウォッチ、そしてアカウンタビリティ・カウンセルの 2 団体がパシフィック・ エンバイロメント に加わり、地元住民を代表して、英国およびオランダの OECD 連絡窓口(以下、 NCP )に申し立てを行った。 NCP は、 OECD ガイドラインの遵守を推進するための政府機関である。
ノーレン氏は、「シェル社とこれらの銀行団は、サハリンⅡ事業に携わる多国籍企業 という点では 氷山の一角に過ぎないが、 同事業に参加する企業の中では、大きな 影響力を持っている。」と付け加えた。
米国の NGO アカウンタビリティ・カウンセル の弁護士サラ・シン氏は、事業を運営するサハリン・エナジー社(SEIC)について触れ、「 SEIC や 同事業への融資者との長年に渡る交渉が不調に終わり 、地域住民は英国とオランダの NCP の関与を要求している。」と述べた。
「シェル社、 RBS 、スタンダード・チャータード、バークレイズは、 事業運営者 に対して、 今までのところ、事業運営者に対してその多大な影響力を行使し、同事業に伴う環境破壊・人権侵害を是正させることに失敗している。 」と同氏は言う。
エンバイロメント・ファイナンスに対し ノーレン氏は、「原告側は、今回の申し立てによって移転と補償が公正かつ正当に実現されることを望んでいる。」と語り、シェル社とこれらの銀行団は同生産施設が引き起こした環境問題に「加担」したと主張した。「資金を提供したこれらの企業・銀行団は、環境および社会的責任を果たすことを公表しており、この事業に関しては特にその点を明確にしてきたが、その約束が果たされていない。」とノーレン氏は述べている。
シェル社、バークレイズ、スタンダード・チャータードはコメントを拒否。 RBS は、英国の NCP から連絡を受けておらず、コメントできないとしている。
英国政府のリーフレットによると、 OECD ガイドラインは、「それを遵守する政府が、多国籍企業に対し、事業を行う場所を問わず守るよう奨励する自主的な原則と基準を示して」おり、その中には環境面での影響に関するものも含まれている。
NCP はこの申し立てを精査し、正当な場合は双方の仲裁を試みる。仲裁が不調に終わった場合は、ガイドライン違反であるかどうかを示す「最終声明」を発表する。
このガイドラインには法的拘束力はないが、政府のリーフレットは、「一般的に、企業も、申し立てによって注目を浴びたり報道されたりすることを望むことはないだろう。」と書いている。
英国政府報道官は申し立てを受領したことを認め、 NCP が 3 か月以内で初期評価の完了を目指すと語った。
( Mark Nicholls 署名記事)
(翻訳: FoE Japan ボランティア) |