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インドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業
【インドネシア住民来日・記者会見】
「JICAはインドラマユ石炭火力に融資しないで!」
生活・環境悪化と地域社会の分断を懸念
日本ODAの『質の高い』インフラ輸出に疑問
3月21~23日、国際協力機構(JICA)が事前調査・基本設計等をすでに支援し、これから建設のための本体借款の供与を検討しようとしている「インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業」(※)に反対してきた住民3名が、日本の関連省庁に対し、JICAが円借款を供与しないよう要請を行ないます。住民はすでに5回にわたり、JICAに書簡を提出。漁業や農業など生計手段への影響、および、健康被害の懸念から同事業に強く反対していることを訴えてきました。また、JICAの同事業に対する「用地取得及び非自発的住民移転に係る計画策定支援」(技術協力)が住民間の不信を増幅する形で進められており、地域分断を助長しているため、JICAがこれ以上、同事業に援助資金を投じないよう求めています。
(写真)3月21日11:00から、参議院議員会館の会議室で開催された記者会見の様子
住民は来日中、外務省、JICAなどと個別面談をもつ他、現在、世界各国の市民社会から賛同を募っている要請書を各関連省庁に提出する予定です。それに先立ち、本事業の現状、今回の来日要請に至った経緯について、記者会見で報告しました。
本事業は、中国の支援で建設・稼働している石炭火力発電所(330 MW ×3基)の隣接地での建設を予定していますが、住民らは既存の発電所の影響で、漁業・農業への被害や健康被害に直面。日本の支援する『質の高い』新規の発電所であっても被害が拡大すると懸念し、昨年から事業の中止を求めて、地元や首都ジャカルタでの抗議活動を繰り返しています。
一方、事業予定地の現場では、JICAが用地取得等の支援に入っているにもかかわらず、特に小作農家や日雇い農業労働者、小規模漁業者の懸念の声が軽視されたまま、土地収用手続きが進められてきました。補償合意形成における強要、不公正も報告されています。
この3月に着工との情報も流れているなか、日本の政府開発援助(ODA)による被害住民を再び生み出さないためにも、日本政府の早急かつ賢明な対応が求められています。
(※)インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業
2,000 MW(1,000 MW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設(275.4 haを収用)し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(1,000 MW)に国際協力機構(JICA)が円借款を検討予定(インドネシア政府の正式要請待ち)。すでにJICAは2009年度に協力準備調査を実施し、エンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(17億2,700 万円)を2013年3月に締結。E/S借款は「気候変動対策円借款」供与条件が適用されたが、2014年の第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)では、同石炭火力事業を気候資金に含んだ日本政府の姿勢が問題視された。
詳細はこちら → https://foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/ および https://sekitan.jp/jbic/