政策提言 個別事業モニタリング
- フィリピン・コーラルベイ・ニッケル
- インドネシア・バタン石炭火力発電事業
- インドネシア・チレボン石炭火力発電事業
- インドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業
- 辺野古・高江キャンペーン
- and more
- 気候変動対策支援
- マングローブ再生
- アグロフォレストリー
マングローブ再生プロジェクト
8年目の活動報告 /2016年
【気候変動影響による「損失と被害」実態調査】
プカロンガン市の沿岸部を中心に、常に浸水被害のある村々を対象として、コミュニティレベルの被害の実態を調査しました。特に行政が把握できていない、住民やコミュニティの経済的損失を調査・分析しました。また、行政や関係機関からも聞き取りや意見交換を重ね、浸水影響に対する行政支援や制度を整理しました。
●プカロンガン市の気候変動(海面上昇)影響
・ 市の1/4が浸水エリア。
・ 市の沿岸部7つの行政地区が高潮による影響。
・ 2013年から4村が常に浸水状態(Kandang Panjang村、Pabean村、Pasirsari村、Bandengan村)。
・ 上記の内、 Bandengan村に最も深刻な被害。(83% の土地が浸水地)
● 国・地方行政の支援
・ 堤防の設置(6.25km)。
・ マングローブの苗木配布。
・ 排水ポンプの設置(2ヶ所)。
・ 限定的だがいくつかの財源による家屋の改築支援。(最大Rp.5,000,000(約5万円)/1戸)。
・ 行政として農家や漁業関係者の経済損失はまだ把握出来ておらず。
● 住民生活への影響
・ バンドゥンガン村では107ha(プカロンガン全体では267ha)の田んぼ全域が2008年から水没。(100-150cmの浸水)
・ 10000㎡のジャスミン畑を喪失。浸水状況により収穫量に影響。
・ 2013年ごろからほとんどの養殖場を築堤式養殖から縄仕切養殖に転換(水没のため)。縄仕切り養殖への転換により、収入は半分。
・ バティック業者の10%が廃業。
・ 住宅地は平均30-40cmの浸水。300戸以上が被害。
・ 塩水の流入によりすべての井戸の汚染。
・ トイレ・風呂が使えない。→一部公衆トイレを設置。(世帯当たりRp.5000/月の負担増)
→汚染された川でトイレや水浴びをする住民も少なくない。
・ 下痢などの感染病の蔓延。
● 住民意見
・ 堤防があれば良いかもしれない。
・ 多くの住民の収入源は昔からここにあるので移住はしたくない。
・ 海面上昇の原因をどこかの地域で埋立て工事をしているために潮の流れが変わった。
・ お金があれば移住したい。
・ 2年に1回は家の修繕費が必要になる。
・ 昔から住む住民は残っているが、新しく移住してきた人たちは影響が出始めたら出て行った。
・ マングローブプログラムは賛同しているが効果はわからない。貯水池を作ったら浸水影響を緩和できるかも。
・ 浸水は気候変動が原因。
・ 浸水影響への支援プログラムができるとしても、誰が責任を持って持続可能な資金管理を出来るかが重要である
・ 浸水の理由はわからない。
・ 移住できるならしたい。
3度の改築をしてもまた浸水する家 | ほとんど喪失したジャスミン畑 |
汚れた水により皮膚炎患者が多い | 海水に浸かった元農地で釣りをする住民 |
家の改築(浸水対策)の行政支援対象から外された住民 | 毎年床を高くするので屋根が低くなっている |
【スマラン市モデル地区の女性グループの活動自立化】
スマラン市タパック村での浸食防止のためのマングローブ保全と代替生計手段としてのエコツーリズム推進活動に関連し、女性たちの参画を促進してきました。マングローブの森の恵みを使ったスナックなどのはエコツアー客にも人気になっています。今年は、ツアー客のために簡易食堂を開き、料理上手なお母さんたち手作りの蟹のピリ辛炒め、魚やエビのフライ等、ここでしか食べられない海の幸を楽しむことができるようになりました。保全活動の自立化が進んでいます。
エコツアー向けの簡易食堂 | マングローブの森の恵みをおふくろの味で |