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マングローブ再生プロジェクト
11年目の活動報告 /2019年
活動内容
・ マングローブ植林:プカロンガン県ジュルック村34,500本
・ スマラン市タパック村開発計画に関する聞き取り、現地視察
・ スマラン市タパック村開発計画に関して都市計画局と意見交換
・ 衛生問題のキャパシティビルディング
・ 住民参画による「適応型トイレ」の設置
・ 日本の大学生の視察、防災ワークショップ
【マングローブ再生保全活動】
2008年から植林したスマラン市タパック村では、マングローブがすでに成長し、多くの鳥や水生生物の生息地となっています。しかし今、マングローブの森は開発の危機に面しています。国内大手の開発企業が工業団地の開発を計画しているのです。住民説明会には企業側の要請による軍の圧力がかけられ、タパック村の住民達が運営する魚の養殖池の横には「企業と軍が管理する」旨の看板が立てられています。住民が何年もかけてマングローブを育て、豊かになった沿岸部と養殖場、エコツーリズムの成功も全て失うことになります。かつてタパック村のマングローブ保全、エコツーリズム導入時に協力してきたスマラン市行政も、大統領令の一環である高速道路計画が同村内にもちあがったことで、工業団地を含むタパック沿岸地域の大規模開発を進めています。
FoE Japanは今後もマングローブ生態系をタパック村に残すために、また住民が大きな損害や人権侵害を被ることのないよう提言活動、行政、企業との対話を進めて行きます。
一方、プカロンガンでは、アピアピ村での植林を支援しています。アピアピ村の沿岸は高波により毎年大きく削られており、プカロンガン県行政とアピアピ村住民はマングローブ植林による沿岸浸食の緩和を少しずつ進めてきました。FoE Japanは将来の開発等のリスクを避けるためアピアピ村の保全活動は、中部ジャワ州、プカロンガン県との協定の下実施していきます。
開発計画のあるマングローブエリアに集う釣り客や市民 | アピアピ村の沿岸浸食 |
アピアピ村で育つマングローブ苗木 | 防風林の苗木を育てる住民 |
【浸水コミュニティへの支援】
2018年からプカロンガンの浸水地における衛生環境を改善させるプログラムを実施しています。2019年は前年に住民主体で問題発掘し、作成したアクションプランの中から、緊急性の高いトイレの問題に取り組みました。浸水が始まって以降、ほとんどの家庭のトイレは使えなくなっており、多くの住民が屋外で浸水地に排泄をしており、浸水地の衛生環境や女性や子どもの安全が心配されていました。計画づくり、場所の確保から設置、運営体制の構築まで、各分野の専門家の助言を得ながら行政のチームと住民チームが協力して公衆トイレを設置しました。雨水利用、バイオフィルター、将来の水位の上昇を想定した設計という浸水地への「適応型トイレ」が完成しました。周辺30世帯が安全にトイレを利用できるようになります。また、村全体の集落からリーダーがこのプロジェクトに参加し、計画から実施のプロセスを経験したことで、今後、各集落で衛生改善の活動に取り組みやすくなります。適応型トイレはプカロンガン市長も注目しており、市の優先プログラムとしても普及されることになりました。さらにプカロンガン市は国の気候変動適応対策の優先地域にも指定されることになり、今後さらなる対策の強化、状況の改善を進めて行くことになります。
適応型トイレ(左)とこれまで使っていた屋外の簡易トイレ(右) | 適応型トイレの譲渡式(中央がプカロンガン市長) |
子ども達や女性達に安心して使われるトイレ |