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マングローブ再生プロジェクト
10年目の活動報告 /2018年
活動内容
・ マングローブ植林:プカロンガン県ジュルック村32,600本
・ スマラン市タパック村マングロ-ブ保全状況の把握
・ スマラン市タパック村タイヤ護岸アセスメント
・ 気候変動に関する住民向けセミナーの開催
・ ポスター配布やお話会の開催を通じた住民への啓発活動
・ 専門家による衛生環境の実態調査、報告書作成、行政・関係機関との対策協議
・ 住民による問題発掘、参加型調査
・ 衛生環境改善に向けた住民参加型のアクションプランの策定
・ 浸水地におけるジェンダー問題の調査、女性グループとの懇談
・ 広範囲の浸水コミュニティの連携構築
・ 行政が建設する堤防の影響、効果に関して行政との協議
【マングローブ再生保全活動】
ジャワ島沿岸部におけるマングローブ再生保全活動は2018年で10年目を迎えました。 最初の活動地であるスマラン、タパック村では、住民への啓発活動から始まり、住民研修、苗育成、植林、マングローブ林でのエコツーリズム等、地域住民主体のマングローブ保全活動を実施してきました。かつてほとんど植物がなく土がむきだしの状態だったタパック村の養殖地域は、今ではマングローブの緑で覆われています。多くのいきものが棲み、餌を求めて水鳥や渡り鳥も多く見られるようになりました。豊かな生態系には魚も多く、毎日多くの釣り客が訪れるようになりました。マングローブ植林体験やマングローブの役割を学ぶエコツアーも人気があり、国内外から多くの視察や訪問者を迎えています。しかし、隣接する地域の港湾開発や空港拡張工事等の影響と気候変動の影響が重なり、保全地域の一部ではマングローブが潮流の変化の影響を受けて流されてしまいました。また、新たな工業団地や高速道路の開発計画もあり、回復した生態系とコミュティの平和は、今も脅かされ続けています。
一方、浸水被害の大きいプカロンガンの活動地では、ジュルック村での植林を進めています。現在、自治体と国が浸水対策として堤防が建設されており、その影響と効果を慎重に精査しながら持続可能で効果的なマングローブ植林、保全のあり方を検討、実施していきます。
マングローブの育ったタパック村養殖場 | 豊かに成長したマングローブ |
漁業や釣り客でも賑わう | 潮の変化によりダメージを受けたマングローブ |
【浸水コミュニティへの支援】
2015年から実施してきた気候変動による損失と被害調査により、生計手段の喪失、住宅・公共設備の浸水と劣化状況、交通問題、衛生環境問題、防災問題等、被害の全体像が明らかになってきました。調査結果を行政や被害の大きいバンドゥンガン村住民と共有、協議し、2018年からは健康的な生活を脅かし、緊急性の高い保健衛生問題から取り組むことにしました。住民は、気候変動と衛生問題の関係を学び、現状を把握するために集落ごとに住民参加型の衛生環境問題の調査を行いました。排水システムの欠陥、海水の浸水により使用できなくなった井戸やトイレ、浸水地に堆積するゴミの問題、汚水の垂れ流し状況等、気候変動がもたらした環境変化とその環境制約による住民の行動や習慣を起因とする衛生環境の悪化もありました。状況を把握した住民が問題を整理、状況改善のための優先順位を話し合い、行動計画を作成しました。
>プカロンガン気候変動損失と被害調査報告書2018版
バンドゥンガン村内でも最も浸水被害の深刻な集落 | 染色産業の排水による河川の汚染 |
河川脇に堆積するゴミ | 浸水する小学校 |
豪雨により水かさの上昇(救助活動の様子) | 参加型調査の結果を報告する住民 |