カナダ政府等の人権侵害について現地調査を――先住民族らが国連に書簡提出
ブリティッシュ・コロンビア州スミザーズ、先住民族Wet’suwet’en領土発
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本日、Gidimt’enのランドディフェンダー(1)らは、国連人権理事会の先住民族の権利に関する専門家機構に対し、「Wet’suwet’enの土地の軍事化とカナダによる継続的な権利侵害」に関する書簡を提出した。この書簡は、カナダの法律、学術、人権の主要な専門家によって共同執筆されたものであり、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)のIndian Chiefs’s Unionやアムネスティ・インターナショナル・カナダなど20以上の団体が賛同している。
Wet’suwet’enの伝統的酋長であるDinï ze’ Woos (Frank Alec)、Gidimt’enチェックポイントのスポークスパーソンであるSleydo’(Molly Wickham)、そしてGidimt’enチェックポイントのメディア・コーディネーターであるJen Wickhamらにより国連に提出された書簡には、コースタル・ガスリンク・パイプライン(2)による強制的な事業化や、Wet’suwet’enの土地に対する警察の軍事行動がUNDRIPに規定されているような国際的な義務をカナダ政府がいかに違反しているかが詳述されている。
書簡は「カナダ政府や州政府が先住民族との和解を宣言しているにもかかわらず、今もなお人権侵害が続き、Wet’suwet’enの土地における軍事化、平和的に土地を守るため活動する人々の強制排除や犯罪者扱い、Wet’suwet’enの土地や文化的な場所における工事での破壊による回復不能な損失が発生している。カナダ政府やBC州は私たちの権利を抑圧する法的、政治的、経済的な策略を展開し、先住民族法、カナダの憲法、UNDRIP、そして国際法への法的義務だけではなく、和解の精神にも違反している。」としている。
提出された書簡の全文はここから閲覧可能
Gidimt’enチェックポイントのスポークスパーソンであるSleydo’は「私たちは国連に対しWet’suwet’enの領土における現地調査の実施を求めます。カナダ政府とBC州政府は私たちの領土からRCMP(王立カナダ騎馬警察)を撤退させておらず、コースタル・ガスリンク事業の許認可も停止していません。国連人種差別撤廃委員会がカナダ政府等にそう求めていたにもかかわらずです(3)。Wet’suwet’enは、先住民族の権利を守り、気候変動を食い止めるための国際的な前線になっています。しかし、武装したRCMPに威嚇され監視され、テロリストとレッテル貼りされ、植民地支配的な裁判所に引っ張り出されています。これがカナダの現実です。」とコメント。
2021年11月にRCMPがWet’suwet’enの領土に侵入したことをうけて、2月14日には30人を超える活動家がプリンスジョージのBC州最高裁判所に出頭する予定だ。2019年1月以降、3度にわたり大規模な警察による介入がWet’suwet’enの領土内で起きている。その間、計74名が逮捕・勾留されており、その中には法的オブザーバーやジャーナリストも含まれる(4)。
*プレスリリースの内容については直接現地にお問い合わせください(連絡先はこちら)
出典
- 訳者注記:伝統的に守り利用してきた土地や環境に対する権利のために立ち上がる活動家や先住民族、コミュニティをさす言葉。http://www.defendlanddefenders.ca/who-are-land-defenders/
- 訳者注記:コースタル・ガスリンク・パイプライン事業は、ブリティッシュ・コロンビア州に建設中のガスパイプライン。モントニーからキティマットまでを670kmのパイプラインで結び、キティマットに建設中のLNGカナダで液化しアジア市場に輸出する。パイプライン、ガスの採掘、液化プラントには日本の民間企業や銀行も関わっている。詳しくは https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/index.html
- 訳者注記:Committee on the Elimination of Racial Discrimination “PREVENTION OF RACIAL DISCRIMINATION, IN CLUDING EARLY WARNING AND URGENT ACTION PROCEDURE” 2019年12⽉13⽇
- 訳者注記:詳しくはこちらhttps://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/211124.html