COP29閉幕間近ーFoEインターナショナル記者会見
11月11日にアゼルバイジャンの首都バクーで国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開幕し、22日に閉幕が予定されています。FoEインターナショナルは交渉終盤である最終日の今日、記者会見を行いました。記者会見での発言の要旨をお伝えします。
記者会見はこちらでご覧いただけます。
FoEインターナショナルのKirtana Chandrasekaranは「市民社会は、先進国から途上国に対する少なくとも年間5兆米ドルの気候資金を求めています。先進国は途上国に対し、非常に大きな炭素負債、植民地負債または道徳的負債を負っています。そのため私たちは先進国に対し気候資金や賠償を求めているのです。」とコメント。また軍事化や戦争に費やす資金が巨額であるのに対し気候資金が拠出されないのは、資金の有無の問題ではなく政治的意思の問題であることを示しているとコメントしました。
FoEマレーシアのMeena Ramanは「(最終日朝の時点で)みんなが交渉文書の最終版を待っていますが、今時点で与えられた気候資金の数字は’ゼロ’です。(2025年までの目標額である)年間1000億ドルを3倍にするという数字が会場の廊下で漏れ聞こえてきますが、これは不十分で、効果もなく、途上国に対する侮辱であると言えます。(1000億ドル目標に合意した)カンクンからの学びは、先進国が目標を達成したと主張する中身をみると、ローンでであり輸出信用などが含まれていました。これらは気候資金ではありません。途上国が先進国に返済しなくてはいけないお金は気候資金ではないのです。途上国は、年間1.3兆円を求めています。これはニーズに基づいた数字です。ここはウォール・ストリートではなくCOPです。これは投資や、ODAやチャリティではありません。先進国による気候資金拠出は、気候変動への歴史的責任に基づく義務なのです。」などとコメントしました。
FoEアフリカのKholwani Simelaneは「アフリカから排出される温室効果ガスはたった4%にもかかわらず、多くの災害に苦しめられています。異常気象や食料安全保障、経済不安定に悩まされています。気候資金の不足は、深刻な不正義です。いくつかのアフリカの国々は、化石燃料開発に反対する気候変動活動家を’反開発主義’とレッテル貼りをします。しかし、これらの開発は地元の人々の福祉ではなく、多国籍企業の利益を優先しています。アフリカの公正なエネルギー転換には気候資金が不可欠です。アフリカの草の根のグループや地域コミュニティに直接資金が届くことも必要です。」などと、コメントしました。
FoEコロンビアのLinda Gonzalezは「この2週間で何も変わっていないように見えます。COP29は、危機をビジネスチャンスと捉えている企業によるPRや自然の金融化が顕著です。また、このCOPで、主要な気候アクションのツールの一つとして、また気候資金のツールとして炭素市場も強化されてしまいました。基準や透明性を確保する仕組みもないままにです。」さらに「市民社会はCOP30に向けて、批判的かつ変革的、解放的(人々に社会的・政治的自由を与える形の)な、環境に関するアジェンダを構築していく必要があります。」とコメント。また来年のブラジルにおけるCOPに向けてラテンアメリカの市民社会がすでに準備を進めていることにも触れました。
(深草亜悠美)