お知らせ
開催報告 エネルギー政策転換に向けた議員セミナー第2回
2011年5月19日、衆議院第1議員会館の多目的ホールにて「第2回 エネルギー政策転換に向けた議員セミナー」を開催しました(>開催案内)。この連続セミナーは 3.11原発震災を機に、脱原発・エネルギー政策転換を実現するための開かれた議論を巻き起こしていくことを目的に、FoE JapanなどのNGOが主催するものです。
第1回セミナーでは、立命館大学教授の大島堅一さん、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さん、原子力資料情報室の西尾漠さんの3人の専門家から、エネルギー経済、エネルギー政策における温暖化対策、政策転換の望ましいプロセスについて解説して頂きました。
>第1回セミナー開催報告
第2回セミナーでは、今回の原発震災の出発地点である「福島」に焦点を当てました。原発が福島の方々にどのような影響を与えてきたのか。また、その構造をつくり出したのは誰なのか。この2点について、ジャーナリストおよび福島の方々のそれぞれの視点から報告していただきました。
>当日プログラム
動画報告はこちら
>https://iwakamiyasumi.com/archives/9665#more-9665
報告1:「原発依存・電力多消費社会をつくり出した人々」
まず、ジャーナリストの上杉隆さんから、日本は他国と比べてもあらゆる既得権益が温存されやすい、温床が持続されやすい社会であるという指摘がなされました。
その原因として、本来政府・企業等に対してチェック機能を果たすはずのメディアが機能していないどころか、メディア内においても、特に大手メディアによって、意見を異にするもの(フリージャーナリストや海外メディア等)が排除されるという負の構造があることが、3.11以降の上杉さん自身の「実体験」により伝えられました。
また、日本政府がIAEAの査察を2カ月間断ってきたことや、WHOの勧告を無視してきたことなどを挙げ、日本の世界における信頼度が著しく低下していることが指摘されました。
>上杉隆氏講演資料
報告2:「原発が地元社会をどう変えたか?」
いわき市議会議員で脱原発フクシマネットワークの世話人を努める佐藤和良さんから、福島原発の建設計画が浮上した1960年頃から原発が地域社会をどのように変容させたのかについてご報告頂きました。
電源三法交付金により、自治体の財政規模が一気に拡大し、「まるで麻薬」のように自治体の原発依存が強くなったこと、その結果として“モノカルチャー化”が進み、1次産業の衰退、被曝労働などの問題が顕在化していったことが指摘されました。「福島のチベット」と言われた浜通りが、そこから這い上がろうと国策に身をゆだねたこと、結果的に悲惨な状況がもたらされてしまったことを訴えられました。
>佐藤和良氏講演資料
報告3:「はじまりは1台の放射能測定器から
~20ミリ撤回運動:福島の子どもたちを放射能から守るために」
福島老朽原発を考える会の阪上武さんからは、3.11原発震災以降の福島県内の学校状況についてご報告いただきました。
福島県内の76%の学校で毎時0.6マイクロシーベルトという放射線管理区域と同レベル(最大のところでは100マイクロシーベルト)であるにも関わらず、文科省からの判断により4月から新学期が始まってしまっている現状が説明されました。
この事態に怒りを爆発させた父母達が、文科省が提示した安全基準である20ミリシーベルトを撤回させるために行動を起こし,対政府交渉が行われています。5月2日の交渉では,文科省が20ミリシーベルト基準にこだわる姿勢を見せる一方、原子力安全委員は20ミリシーベルト基準を認めていないとするなど、両者の意見が食い違う状況が生まれています。
>阪上武氏講演資料/20ミリシーベルト交渉
報告4:「飯館村が今直面していること」
最後に、計画避難区域である飯館村の若手として佐藤健太さんと愛澤卓見さんが、現在飯館村が直面している困難を、当事者の生の声として報告されました。
3.11直後、放射線量が高かったのにも関わらず、停電等により外部情報が無かったこと、また外部情報が入ってきた後にも、多くのメディアによる「放射線の安全情報」を信じたことにより、多くの方がマスクなどの防護をせずに普段と変わらぬ生活をし、相当被曝を重ねてしまっている状況が報告されました。
現在、佐藤さんと愛澤さんを含む飯館村の若手が、愛する飯館村を還せプロジェクト「負げねど飯館!(仮)」を立ち上げ、村民に対してホールボディカウンターによる内部被曝量の測定の早期実現が適うよう、力強く訴えられていました。
>佐藤健太氏 スピーチ原稿/講演資料
また参加した議員からは、下記のような発言が寄せられました。
「政府の中にいても検証する人が少ない。一般のマスコミ情報を鵜呑みにしている。東電でしか対応できない流れが出来てしまったが、変えていかなければならない」
「力を合わせて20ミリの撤回に持っていきたい。なんで学校が20ミリで良いのか。道路や公園も問題にした方が良い。国会で追及していきたい。力を合わせていこう」
「命の切り捨てが行われている。いかに政府が正確な情報を出して、周知していくことが必要である。しっかり国会で生かしていきたい」
遠いところで生じている問題ではなく、知らぬうちに、私たち自身も原発依存社会を創り出している一員になってしまっていると感じます。問題を直視し、原発依存社会から脱出するために知恵を出していかねければならないと強く思います。
(報告:畦地啓太)
エネルギー政策転換に向けた議員セミナー 第2回
原発依存社会がもたらしたもの 【要申込み】
>開催報告はこちら
IIWJにて中継します!※ただし、電波状況がよくない可能性があります。
その場合はアーカイブにてごらんください。
https://iwakamiyasumi.com/ustream-schedule/ustream3
福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー政策の根本を揺るがすものとなりました。
いままで原発に依存してきたエネルギー計画や温暖化対策の抜本的見直しが必要となってきています。
本集会は、エネルギー政策の転換がなぜ必要なのか、どのように達成するのかを議論するシリーズの第2弾です。>第1回開催報告はこちら
今回は、原発・電力多消費社会の構造的な問題に切り込むとともに、あらためて福島原発事故の根本的な問題を見つめます。
【講師】(予定、敬称略)
上杉隆(ジャーナリスト)
佐藤和良(いわき市議会議員)
佐藤健太、愛澤卓見(飯舘村村民/負げねど飯舘!!(仮)常任理事)
阪上武(福島老朽原発を考える会)
日 時 | 2011年5月19日(木)15:00~18:00 ※議員会館の外からお越しの参加者には、14:30から15:15まで、衆議院第1議員会館の入口で入館証を配布します。大幅に遅れる場合は、あらかじめご連絡ください。 |
会 場 | 衆議院第1議員会館 多目的ホール >地図 東京都千代田区永田町1-7-1 |
内 容 | 原発依存・電力多消費社会をつくりだした人々
原発は、地域社会をどう変えたか? 飯館村が今、直面していること 《ワンポイント報告》 怒れる親たちの声をきけ ~子ども20ミリシーベルト~ |
資料代 | 1,000円 |
定 員 | 250名 (定員に達し次第締め切ります) |
主 催 | FoE Japan、環境エネルギー政策研究所(ISEP)、原子力資料情報室、 グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパン、 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、原水爆禁止日本国民会議 |
協 力 | 環境市民、気候ネットワーク、市民がつくる政策調査会、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチ |
申込み | 申込みフォームよりお申込みください > 申込みフォーム(一般) > 申込みフォーム(サポーター) |
問合せ | FoE Japan 満田、渡辺 Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219 Email: finance@foejapan.org |