パーム油と森林
エイチ・アイ・エス(H.I.S.)に14万8千筆の署名提出~「熱帯林こわすパーム油発電やめて!」
7月30日、FoE Japan、プランテーション・ウォッチ、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)など、気候変動や森林保全に取り組む国内外の環境NGOは、旅行大手エイチ・アイ・エス(H.I.S.)社に対して、同社が宮城県角田市で建設中のパーム油を燃料としたバイオマス発電所事業から撤退するよう求める署名148,588筆を提出しました。海外からは、ドイツ、イギリス、アメリカ、インドネシア、マレーシアなど
65か国から署名がよせられました。提出したあとも署名数は伸びており、現在は154,000筆を超えております。
署名では、パーム油が生産段階のアブラヤシ農園開発などで、熱帯林や泥炭地を破壊すること、土地利用転換や加工・輸送で大量の温室効果ガスが発生する
こと、バイオマス発電利用が莫大な需要増加を招くことなどを指摘しています。
エイチ・アイ・エスは、署名を直接手わたしし、意見交換したいという環境NGOの申し出を断ったため、署名は送付にて提出しました。
FoE Japanの満田夏花事務局長は「パーム油による発電は、熱帯林開発圧力となり、生物多様性や気候変動に脅威を与える。私たちはたびたびこれらの問題をエイチ・アイ・エスに訴えてきた。しかし、工事は開始されてしまった。エイチ・アイ・エスは15万人近くにも及ぶ人たちの懸念の声にこたえるべき」とコメントしました。
プランテーション・ウォッチの飯沼佐代子さんは「パーム油を生産するアブラヤシ・プランテーションの拡大は東南アジアの熱帯林減少の最大の脅威。バイオマスの燃料としてパーム油を使用することは、新たな需要を生み出すこと。大きな影響をもたらす」と話しました。
バイオマス産業社会ネットワークの泊みゆき理事長は、「FITは私たち電力消費者の賦課金でなりたっている。パーム油に限らず、膨大な温室効果ガスを生み出すバイオマス発電をFITで支えることは説明がつかない」と指摘しています。
経済産業省委託の調査では、森林減少や泥炭地開発などによる温室効果ガス排出を除いても、栽培・加工・輸送にかかるパーム油による発電の温室効果ガス排出はLNGに匹敵するという結果となっています。
(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「バイオマス燃料の安定調達・持続可能性等に係る調査報告書」(2019年2月 )p.112)
署名は当面の間、継続する予定です。
ぜひ、みなさまのご協力をお願いいたします。
署名サイト(日本語):
https://www.foejapan.org/forest/palm/190507.html
海外のサイト(Rainforest Rescue):
https://www.rainforest-rescue.org/petitions/1179/palm-oil-is-not-green-fuel-stop-the-trip-to-destruction?t=358
参考資料)
何が問題? H.I.S.のパーム油発電 Q&A
https://www.foejapan.org/forest/palm/190609.html
環境団体、バイオマス発電に関する共同提言を発表
https://www.foejapan.org/forest/library/190716.html
経済産業省
バイオマス持続可能性ワーキンググループ
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/biomass_sus_wg/index.html