パーム油と森林
【署名】HISさん、熱帯林と若者の未来を破壊するパーム油発電をやめて!
FoE Japanは、森林や気候変動に取り組む多数の環境NGOや、宮城県内外の市民団体とともに、以下の署名をはじめました。ぜひ、ご協力ください!
>個人の方の署名はこちらから(Change.org経由) 第五次締切:2020年7月末日
>団体署名はこちらから(フォーム・メーラー経由)
>署名用紙(PDF)
7月30日、HISに14万8千筆の署名を提出しました>報告はこちら
【署名要旨】
・旅行大手のエイチ・アイ・エス(H.I.S.)が、宮城県角田市でパーム油を利用した発電所の建設を開始。発電所では、年間7万トンものパーム油を燃やす。
・パーム油のもととなるアブラヤシの生産地マレーシア、インドネシアでは、広範囲にわたる熱帯林および泥炭地の破壊により、野生生物の生息地が失われ、大量の二酸化炭素が発生する。
・「発電用」にパーム油を大量に燃やすことは、さらなる熱帯林破壊をもたらす。環境破壊型の発電である。
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株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長兼社長 澤田秀雄様
H.I.S. SUPER 電力株式会社 赤尾昇平 様
HISさん、熱帯林と若者の未来を破壊するパーム油発電をやめて!
旅行大手のエイチ・アイ・エスが、宮城県角田市でパーム油を利用した発電所の建設を開始しています。年間7万トンものパーム油が燃やされる計画です。
パーム油は、主に加工食品などに広く使われている植物油で、アブラヤシから生産されます。主な生産国は、マレーシアおよびインドネシアですが、アブラヤシを生産するためのプランテーション開発により、熱帯林の破壊、泥炭地開発やそれらに起因する温室効果ガス(GHG)の排出、野生動物の生息地の消失など深刻な環境影響が発生しています。強制労働による農園労働者の人権侵害、農園開発に伴う地域住民との土地紛争や、社会的な問題も数多く指摘されています。
従来の食用を主とした需要の拡大でさえ、熱帯林の減少に大きく寄与しているのです。この上、発電のために燃やすことに利用したら、その影響ははかり知れません。
欧州委員会の委託により行われた調査では、パーム油のバイオ燃料としての消費が引き起こすCO2 排出量は231g CO2-eq/MJ(注1) と、石炭の排出量(97.3CO2-eq/MJ 注2)を大きく上回っています。これはパーム油発電の温室効果ガス排出量が、石炭火力発電所の排出量を上回ることを意味し、パーム油による発電は再生可能エネルギーとして不適切です。このことから、米国ではパーム油をバイオ燃料として使うことを再生利用エネルギーとして認めておらず、これまで使用してきたEUも2030年までに使用を止めることとしています。
FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)ではRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証油を要件としましたが、問題なのは、発電に伴う爆発的な需要拡大そのものが、熱帯林開発圧力になるということなのです。
地元の角田市議会でも、昨年12月と本年3月の市議会で、市議からHISのこの事業を批判し、市長の対応を問いただし、角田市に「撤退の申し入れ」を強く求める質問がありました。震災からの真の復興を願い気候変動被害を憂うる、地元宮城県の環境団体や市民からも批判の声が強まっております。
HISのグループ理念は「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」であり、H.I.S. SUPER電力株式会社も、「自然の摂理にのっとり限りない人類と平和な未来へ繋がる社会を創造する」を経営理念としておられます。熱帯林の破壊に寄与するパーム油による発電所の建設は、この理念とあいいれません。建設を即時に中止してください。
パーム油発電は、CO2 排出と熱帯雨林破壊によって、二重・三重に気候変動に悪影響をもたらします。熱帯雨林と地球の未来を守るために、真の震災復興のために、HISは、宮城県角田市でのパーム油発電所建設事業から撤退してください。
ECOFYS Netherlands B.V., "The land use change impact of biofuels
consumed in the EU -Quantification of area and greenhouse gas impacts", 27 August 2015, p.40
https://ec.europa.eu/energy/sites/ener/files/documents/Final%20Report_GLOBIOM_publication.pdf
環境省の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/)によれば、石炭火力発電所の運転時の二酸化酸素排出係数は90.6gCO2-eq/MJ。しかしこれは生産・輸送時の排出が含まれていないため、日本エネルギー経済研究所「わが国における化石エネルギーに関するライフサイクル・インベントリー分析」表2-8 石炭のライフサイクルインベントリー分析結果を参照し、総発熱量ベース一般炭の生産、輸送等の排出が、7.66g-C/Mcal、燃料種別排出係数が103.44g-C/Mcalの7.4%に相当するところから、90.6gCO2-eq/MJに1.074を乗じて97.3CO2-eq/MJとした。
呼びかけ団体:
蒲生のまちづくりを考える会、仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会、市原憲法を活かす会、蒲生のまちづくりを考える会、市民ネットワーク千葉県、石炭火力を考える市原の会、石炭火力を考える東京湾の会、仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会、蘇我火力発電所計画を考える会、袖ケ浦市民が望む政策研究会、NPO法人ちば環境情報センター、横須賀火力発電所建設を考える会、国際環境NGO FoE Japan、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、プランテーション・ウォッチ、ウータン・森と生活を考える会、気候ネットワーク、グリーンピース・ジャパン、グリーン連合、WALHI(インドネシア環境フォーラム、FoEインドネシア)、Mighty Earth、Rainforest Rescue
呼びかけ人:明日香壽川(東北大学東北アジア研究センター教授(気候変動政策))、飯沼佐代子(地球・人間環境フォーラム)井上友昭(日本大学非常勤講師), 仙台パワーステーション操業差止訴訟原告)、井上真(早稲田大学教授(環境社会学), 日本環境会議副理事長)、小西由希子(蘇我火力発電所計画を考える会代表, 石炭火力を考える東京湾の会共同代表)、寺西俊一(一橋大学名誉教授(環境経済学), 日本環境会議理事長)、戸田清(長崎大学大学院教授)、泊みゆき(バイオマス産業社会ネットワーク理事長)、友澤悠季(⻑崎大学大学院准教授)、長谷川公一(東北大学大学院教授(環境社会学), 公益財団法人みやぎ環境とくらし・ネットワーク理事長, 仙台パワーステーション操業差止訴訟原告団団長)、広瀬俊雄(仙台錦町診療所・産業医学・健診センター産業医学センター長)、細川弘明(京都精華大学教授,高木仁三郎市民科学基金理事)、保母武彦(島根大学名誉教授(財政学),島根原発・エネルギー問題県民連絡会事務局長)、松浦真(宮城高等専門学校名誉教授, NPOきらきら発電・市民共同発電所理事)、松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所理事・主席研究員)、水口剛(高崎経済大学教授(責任投資・非財務情報開示), 日本サステナブル投資フォーラム共同代表)、満田夏花(FoE Japan事務局長)、水戸部秀利(医師, NPOきらきら発電・市民共同発電所理事長)、山下英俊(一橋大学大学院准教授)、除本理史(大阪市立大学教授(環境経済学), 日本環境会議事務局次長)
問い合わせ先::〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9 国際環境NGO FoE Japan
TEL: 03-6909-5983 / FAX: 03-6909-5986