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プレスリリース・意見書
NGO16団体が注意喚起
マレーシア違法材、州政府手続きで「合法化」 日本企業が最大の買い手に
本日、世界の森林保全に取組む国内外の環境NGO16団体は、マレーシアを原産国とする違法な木材や持続可能でない木材の消費において日本企業が果たしている役割について、強い懸念を持ち、その注意喚起のために、主要な購入企業の会員組織に要望書を提出しました。
>PDF版(日・英)
日本木材輸入協会
会長 小川 勝 様
社団法人 全国木材組合連合会
会長 並木 瑛夫様
マレーシアを原産国とする違法な木材や持続可能でない木材の消費について
我々下記に署名した団体は、マレーシアを原産国とする違法な木材や持続可能でない木材の消費において日本企業が果たしている役割について、懸念を持っています。特に、日本企業に木材を大量に輸出しているサムリン・グローバル社のサプライチェーンにおいて、明らかな違法伐採行為が存在するということを示した最近の情報について貴団体の注意を喚起したくこの文書を送ります。
サムリン・グローバル社はマレーシアのサラワク州における最大の木材企業であり、約200 万ヘクタールにあたるコンセッションを保有しています。2009 年英国の調査団体アースサイト・インベスティゲーションがバラム川盆地において行った現地調査と衛生画像分析によれば、サムリンの事業として国立公園内で違法伐採が行われていました。違法伐採の内容は、コンセッション境界外で行われたもの、コンセッション内の急峻な丘陵地や河川沿いのバファーゾーンにおいて行われたもの、環境影響評価もなしに行われたもの、制限を超過した伐採、伐採可能な大きさに満たない木や保護されている木の伐採など、多岐に渡ります。また2008 年にはマレーシアの監査局が、サムリン社のサラワクにおける伐採権の違法行為の証拠を見つけています。
これにより、ノルウェー政府の年金基金グローバルの倫理委員会は、サムリン社への投資を撤回しました。これについては添付の資料に報告書のサイトのリンクがありますのでご覧ください。調査の行われたコンセッションにおける組織的違法行為が明らかであるにも関わらず、これらの森林から出てくる丸太はサラワク州政府の手続きにより通常「合法化」され、日本政府からは両国の間で開発されたシステムのもと「合法性の証明された」ものと認識されています。
日本企業は、違法伐採が確認された盆地に位置するSamling Plywood (Miri)社とSamling Plywood
(Baramas)社を含め、サムリン社のサラワク州からの丸太及び合板の最大の買い手です。さらに、2010 年にアースサイトが行った現地調査では、Samling Plywood (Baramas)社の加工工場で使用される木材はすべてマレーシア産の熱帯材であり、ほぼ全部が上流の違法伐採が特定されたコンセッションからのものだとわかっています。日本企業は合法性のスタンプの「裏で」起こっている行為について認識していないのかもしれません。調査の結果は同封の文書にまとめてありますし、ノルウェー政府の年金基金グローバルの倫理委員会の作成した報告書の完全版をお読みになることをお勧めします。これらの調査結果は2009 年と2010 年のものですが、サムリン社の行動がそれ以来変わったという明白な兆候はありません。
消費国として、日本は違法材や違法木材製品の取引を禁止する法律を成立させたアメリカやヨーロッパに後れをとっています。また、7 年前にG8 諸国のグレンイーグルスでのコミットメントを現実のものにするという点でも他国に後れをとっています。これは、「それぞれの国において」違法材の取引を防止するための行動を取る、というコミットメントでした。最近の英シンクタンク、チャタム・ハウスの独自の調査によれば、日本は調査の対象となった5 か国中、問題の対処という点において最下位にランクづけられています。日本の公共調達方針は、その内容、実施ともに違法木材製品の消費を防ぐには十分ではありません。
我々は、日本木材輸入協会の会員企業に対し、サムリン・グローバル社が自らのコンセッション内における法律への準拠を独立証明することができるまでは、同社からの購入を控えるよう求めます。また、貴団体に対し、企業と協力し、日本が違法材に対して扉を開かないよう、違法材の商業取引を禁止する規制と強力なデュー・ディリジェンスにより、より強力な措置を設けることを求めます。
【署名団体】
Environmental Investigation Agency (US & UK)、
Climate Justice Programme (Australia)
Forests of the World (Denmark)、
Friends of the Earth US、
Global Witness (UK)
Humane Society International (Australia)、
Rainforest Action Network (US and Japan)
FoE ジャパン、
グリーンピースジャパン、
JATAN (Japan Tropical Forest Action Network)
ナマケモノ倶楽部、
ウータン・森と生活を考える会、
サラワクキャンペーン委員会
【問合せ】
FoE Japan 三柴淳一 03-6907-7217
Andrea Johnson, Environmental Investigation Agency (US), +1(202)483-6621
Cc :
日本合板工業組合連合会 御中
日本合板商業組合 御中
日本集成材工業協同組合 御中
社団法人日本オフィス家具協会 御中
全国天然木化粧合単板工業協同組合連合会 御中
環境省総合環境政策局環境経済課 御中
経済産業省 製造産業局 日用品室 御中
林野庁長官 皆川 芳嗣様
林野庁 木材利用課 木材貿易対策室 御中
外務省 地球環境課 御中
国土交通省 大臣官房 官庁営繕部 整備課 木材利用推進室 御中