お知らせ
サラワクセミナー: 第ニ回 「森に、息づくもの~サラワク先住民の物語~」 開催報告
昨年の 11 月 26 日、丸の内さえずり館でサラワク連続セミナー第二回「森に、息づくもの~サラワク先住民の物語~」が開催されました。
マレーシア・サラワク州の森の現状をサラワク・キャンペーン委員会のトム・エドワードソンさんから説明がありました。マレーシアのサラワク州では、大昔から先住民族が焼畑農業を営み、森から動物など獲物や果物、主食とするサゴやし、そして薬草など多くの恵みを得、文化的にも多様性に富む豊かな生活を送っていました。サラワク州では、森林資源や土地利用を管轄するのは州政府です。タイブ・マハムド州首相は 1981 年の就任以降、現在まで長期政権を維持して多くの伐採許可証を発行。森に暮らす先住民族の生活に、大きな変化が起こりました。
問題は3つあり、1.伐採、2.アブラヤシプランテーション、3.ダム開発などです。伐採やアブラヤシプランテーションは日本にも輸入されているため、日本との関係が深いのです。これに対し、先住民族は抵抗をしていて、例えば、道路封鎖・裁判闘争( 200 件以上)、オーラル・ヒストリー(地域や民族の歴史や慣習を巡る、聞き取りと記録)の活動などが挙げられます。サラワク・キャンペーン委員会では、古老からの聞き取り活動などに参加しています。
先住民族の土地権が、森林大臣がペンの一振りで土地権を取り消し、形ばかりの保証金を払えば伐採や農園への転用ができるなどの矛盾もあり、抵抗しても先住民族の声はなかなか届きませんが、具体的な活動として、昔から先住民族が使ってきた慣習地の地図を GPS を使って作ったり、ウマバワン地域の森を再生させる意味で植樹を行ったりしています。 沢山の現状を伝える、データや写真などがあって、問題点が理解し易い内容でした。
続いて、バラム川の上流地に暮らすプナン人の文化や暮らしについて、同委員会の加藤薫さんが発言しました。プナン人たちは、自分たちが長くこの森に暮らしてきたことを証明し、また若い世代に先祖伝来の歴史や暮らしの知恵を伝えるため、記憶を記録にとどめようとしています。サラワク・キャンペーン委員会では、古老が語る様子をビデオ撮影したり、プナン人若手画家の挿絵による絵本を編むなどの活動を、 これまでしてきたそうです。
森の動植物の絵本の紹介や、映像、古老の話の紹介など興味深い内容で、参加者も聞き入っている様子でした。例えば、矢に毒を塗って、筒に入れて吹き矢にし、イノシシ、サイなども吹き矢で獲っていた話など、私達の生活ではもう無くなってしまった話ですが、もしかしたら日本人の私達も DNA に記憶されているのかもしれない話が多く、引き込まれる内容で、楽しめました。
参加者からも、引き続きこういった内容のセミナーを開催してほしいという声や深く理解できたという声が寄せられました。 サラワク・キャンペーン委員会の皆さま、貴重なセミナー、ありがとうございました。
■資料ダウンロードコーナー(いずれも PDF ファイルです)
セミナ-資料 サラワクの森林と先住民族(2.27MB)
セミナー: 第ニ回 「森に、息づくもの~サラワク先住民の物語~」
■主催 国際環境NGO FoE Japan、サラワク・キャンペーン委員会(SCC)