脱原発・エネルギーシフトに向けて
【プレスリリース】
-福島市渡利地区-
福島市の計測により詳細調査区域外の世帯で避難勧奨指定基準越え
特定避難勧奨地点指定・全域での調査やり直し・子ども妊婦基準の適用を!
じわじわと上がる線量…住民は地区全域の指定と子ども妊婦の一時避難を切望
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
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福島市渡利地区の子どもがいる世帯が、福島市に計測を依頼し11月28日に実施された結果、庭先で1メートル高で2.95マイクロシーベルト/時を記録した。この値は、測定時期による減衰を考慮すると、特定避難勧奨地点の指定基準(基準は6月の時点で3.2、7月で3.1、8月で3.0であり、11月末の時点で基準を設定した場合、明らかに2.9かそれ以下の値となる)を越えている。
この世帯は、子ども二人と父母、祖父母の6人家族で、現在、子どもと母親が福島市の西部地区に、平日のみ自費で避難している。避難に際し、補償と支援が受けられる特定避難勧奨地点の指定と子どもの優先避難を希望している。
「この付近は、全体的に高い。子どもたちへの影響が心配です。国や市は、“除染”といいますが、いつはじまるかもわからない状況です。地域全体を特定避難勧奨として子どもの避難を進めるべきです」と同世帯の祖父は語る。
この世帯は、国が特定避難勧奨地点指定の検討に際して、渡利地区で8月に行った詳細調査の対象から外れていた。国の詳細調査は一部地域に限られていたが、今回の結果は、これが不十分なものであったことを明らかにした。
さらに、この世帯では、市の計測により、庭先で50センチメートル高で5.45マイクロシーベルト/時を記録している。これは、南相馬市で設定された特定避難勧奨地点指定の子ども・妊婦基準(50センチメートル高で2.0マイクロシーベルト/時)を大きく上回る。
国は渡利・小倉寺・南向台地区において、50センチメートル高で2.0マイクロシーベルト/時を越える世帯が300世帯余りあったにも関わらず特定避難勧奨地点には指定しなかった。(注)渡利地区においては、子ども・妊婦への配慮が必要とする原子力安全委員会の助言を事実上無視し、放置されている。
福島市渡利地区は、事故直後から線量が高く、地区の各所に驚くほど高い場所が点在していること、雨により放射能が拡散するのではなく、逆に山からの流入によりじわじわと線量が上がる箇所があること、行政は除染を連呼するが、実際には仮置き場がなく始めることすらできない、といったことから、避難に際し確実に補償と支援が受けられる特定避難勧奨地点の指定を、地区全体で行うことが求められている。とりわけ住民は、除染前・除染期間中の子ども・妊婦の一時避難を早急に実現することを切望している。
【問合せ】
国際環境NGO FoE Japan 担当:満田夏花(みつた・かんな)携帯:090-6142-1807
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) 阪上武 携帯:090-8116-7155
(注)国は、50cm高2.0マイクロシーベルトという南相馬市の子ども・妊婦基準は「基準」ではなく、特定避難勧奨地点指定された地点の近傍の地点の検討の際に用いられるものと説明を行っているが、南相馬市の行政担当者は、近傍であるかどうかにかかわらず、同基準を上回る世帯に子ども・妊婦がいる場合適用しているとしている。