2011年 11月29日
国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
「福島老朽原発を考える会」および「国際環境NGO FoE Japan」は、9月29日~10月31日まで、自主的避難者および福島県内の残留者の方々を対象としたアンケートを実施し、241の回答を得ました。
その結果、避難者の多くが、家族のうち一部だけが避難する形態をとっており、休暇を家族で過ごすための交通費など、二重生活に伴う費用の増加が問題となっていることが明らかになりました。また、避難したくても避難ができない、あるいは福島にとどまる理由として、経済的な不安を挙げた人が多いことが明らかになりました。
このような結果から、「自主的」避難への賠償が確実に得られるようにすること、そのため、賠償に際しては、一律同額の「見舞金」的なものではなく、避難区域内からの避難者と同様に、実際にかかった実費が全て賠償される必要があることが明らかになりました。
■アンケートの概要
実施期間:9月29日~10月30日
実施団体:FoE Japan、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
対象者:自主避難者、福島県内の残留者
手法:インターネット、メール、イベントなどで呼びかけ
回答数:241
■結果概要
◆回答者は、家族一緒に自主的避難をしている人が約22%、家族内で自主的避難者と残留者に分かれている人が約34%、自主的避難を予定しているまたはできればしたいができないでいる人が合わせて約37%、福島県にどとまることを決めた人が約6%だった。
◆自主的避難をした回答者のうち、家族全員で避難した方は約2割にすぎず、残りの約8割は二重生活が迫られる家族の一部が避難する形態をとっていた。
◆避難の時期は、事故直後の3月が多く、4月に一旦減った。新学期の開始や安全宣伝などの影響により、避難したが戻った人が多くいたと思われる。しかしその後避難者は増え続け、夏休み中の8月にピークとなっている。9月はまた避難者が減っているが、避難先から戻る人はほとんどいないと思われ、原子力損害賠償紛争審査会で示された福島県のデータでも、自主的避難者の数は累積では増加し続けている。
◆避難を決めた理由としては、内部被ばくが心配だから、福島第一原発における水素爆発、事故の収束まで長くかかりそうだから、自宅/学校などで放射線量が高くなってきたから、家族が心配しているから、がいずれも多かった。
◆避難にかかった費用は、引越し代が平均約22万円、家賃が月額で平均約8万円、引越し以外の交通費が約15万円などとなっており、その他も含めた合計では平均約72万円余りとなっている。家族の一部が避難した場合、家族に会うための交通費がかさむが、これは今後も増え続けることになる。他に、二重生活に伴う日々の出費の増加などがある。一方で退職や転職に伴う収入の低下があるが、これら全てを賠償の対象とすべきだろう。
◆避難を予定している人も、その理由に、内部被ばくが心配だから、福島第一原発における水素爆発、事故の収束まで長くかかりそうだから、自宅/学校などで放射線量が高くなってきたから、家族が心配しているから、を挙げていた。
◆避難をしたくてもできない人は、その理由に、経済的不安、仕事上の理由を挙げている人が多くいた。家族の同意については、それは避難できない理由ではないとする人のほうが多く、家族の同意よりも経済的理由が避難の妨げになっていることが浮き彫りになった。
◆福島にどどまると決めた人は、その理由に経済的不安を挙げていた。行政の除染については、期待する声は少なく、それはとどまる理由ではないという人が圧倒的に多数を占めていた。
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>アンケート結果はこちら[PDF]
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【問い合わせ先】
福島老朽原発を考える会 阪上武 携帯:090-8116-7155
国際環境NGO FoE Japan 満田夏花(みつた・かんな)携帯:090-6142-1807
E-mail: finance@foejapan.org