脱原発・エネルギーシフトに向けて
共同プレスリリース
マレーシア政府の原発建設計画の中止を求める
10月8・9日、FoE Japan、FoEマレーシアほかアジアのNGOがマレーシア・クアラルンプールで公開フォーラムを開催、マレーシアにおける再生可能なエネルギーの可能性などについて議論しました。
日本から、原子力資料情報室、子どもたちを放射能から守る福島ネットワークにも参加いただき、福島原発事故の経験を共有しました。
会議後の11日、マレーシアのNGO14団体は声明を発表、マレーシア政府に対して原子力発電所の建設計画を破棄することを求めました。
>原子力発電所についてのNGO声明[PDF]
また、FoE Japan ほか参加団体は共同で、以下のプレスリリースを発表しました。
プレスリリース原文はこちら
>Call on the Government of Malaysia to stop its nuclear power development plan
【和訳】
共同プレスリリース
2011年 10月11日―
クアラルンプール
本日、韓国、オーストラリア、マレーシアの市民団体はマレーシア政府に対し、原子力開発計画を中止するよう要求する。
これらの団体は、原子力はマレーシアにおける未来の持続可能なエネルギーの選択肢にはなりえないと確信していると述べている。
このグループは、Friends of the Earth Japan (FoE-Japan), 原子力資料情報室, 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク, Korea Federation for Environmental Movement (KFEM/FoE-South Korea), FoEオーストラリア, FoEマレーシア (Sahabat Alam Malaysia), ペナン消費者協会、第三世界ネットワークとで構成される。
10月8、9日にクアラルンプールで行われた2日間の公開フォーラムでは、マレーシアにおける近い将来の健全なエネルギーミックスを達成するためのエネルギー効率と再生可能なエネルギーの可能性についての議論が行われた。原子力技術はこれまでに幾度となく、経済的、環境的、社会的に有害であると証明されている。マレーシア政府が税金を原子力技術に投入する代わりに、エネルギー効率と再生可能エネルギー部門への支援を増加することをこれらのグループは強く求めている。
このフォーラムでは、3月11日の津波被害により引き起こされた、福島第一原子力発電所の3基の原子炉のメルトダウンによる福島の人々の苦しみの声が直に伝えられた。
FoE Japanの渡辺瑛莉(原子力・エネルギー担当)は次のように語った。
「今回の福島における事故では、ひとたび過酷事故が起きれば、環境・社会影響は取り返しのつかないものになることを改めて私たちに示しました。現在までのところ、日本政府は国民を放射能から十分に保護できていません。しかしながら、政府は今なお原子力技術の輸出を促進する政策を崩していません。自国民が事故によりいまだに苦しんでいる状況下で、政府のこの方針は道徳的にも間違っています。私は、マレーシアの繁栄と未来の世代のために、マレーシア政府と国民が原子力の導入を再考することを強く勧めます。」
原子力資料情報室の伴英幸は次のように語った。
「日本政府と電気事業者は、日本の原子力技術は優秀であると強調してきましたが、福島の事故はそれが間違っていることを証明しました。原子炉から排出された放射性物質は、広範囲にわたる土地、大気、海洋を汚染しました。私は、マレーシア政府と国民が、福島での悲劇は原子力を利用するいかなる国でも起こり得ることだと認識してほしいと思います。」
子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの中手聖一代表は次のように述べた。
「私は福島の人々が経験していることを、マレーシアの人たちには経験してほしくないと思います。私はそのことを言うためだけにここに来ました。福島では、原子力事故のために10万以上の家族がバラバラになっています。さらに、現在でも100万人の人々が汚染された地域に留まり、深い苦悩と不安の中にいます。人類は原子力発電所をあきらめなければなりません。私たちはこれ以上、原子力発電所を作ってはいけません。」
FoE韓国(KFEM)のKim Hye Jeongは以下のように言う。
「1978年に韓国で初めて原子力発電所が導入されて以来、32年の間に大小646の事故が記録されていることが示すように、韓国の原子力技術は疑問を抱えています。私たちは、韓国でもいまだに営業運転の行われていないAPR1400型原子炉が、マレーシア政府が韓国から買おうとしている原子炉の型になるであろうことに非常に驚いています。国際技術協力という美名の下、マレーシアのような開発途上国に、このような標準ではない技術を輸出する韓国政府の計画を非難します。」
FoE Australiaの国家原子力担当のJim Green博士は次のように語った。
「オーストラリア産のウランは、3月に破壊された福島の原子炉で使われていました。マレーシアで起こり得る同じような災害に対して、我々オーストラリア人が責任を負うような真似はしたくありません。」
博士によると、50年のライフスパンで見た場合、一つの原子炉は1500トンの高レベル放射性廃棄物と3500万トンの低レベル放射性廃棄物を排出するという。マレーシア政府はこの負の遺産を未来の世代に遺すべきではない。
彼はさらに、原子力は大量破壊兵器を生み出す唯一の能力を持ったエネルギー源であると念を押す。
「エネルギー効率の改善、そして再生可能エネルギーを選択するほうがはるかに良いでしょう」と博士は語った。
このフォーラムを終えて、マレーシアのいくつかの市民団体は、提案されている原子力発電所に反対するための共同キャンペーンを行っていくことに合意した。
<プレスリリース発出団体>
Sahabat Alam Malaysia (FoE Malaysia)
Friends of the Earth Japan
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
原子力資料情報室
Friends of the Earth Australia
Korea Federation for Environmental Movement (KFEM/FoE South Korea)
Third World Network
Consumers Association of Penang
本件に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
Hilary Chiew, SAM – 019-355-3821
Theiva Amarthalingam, SAM 017‑244-0505
Mageswari Sangaralingam, CAP 012-878-2706
渡辺瑛莉, FoE Japan finance@foejapan.org