「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメント」
意見提出
2015年1月7日
国際環境NGO FoE Japan
・該当箇所: 全体
・意見内容:
再生可能エネルギーに関して「接続可能量」という考え方を適用すべきではない。優先給電、接続義務を徹底し、再生可能エネルギーの最大限導入を達成することを目的とした運用見直しとすべきである。
・理由:
固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの導入を促進することを目的とした制度である。また今回の見直しも「再生可能エネルギーの接続可能量を拡大するため」のものであるはずである。しかしながら、原発を「ベースロード電源」として優先したうえで再生可能エネルギーの「接続可能量」を算定するという方法は、これに反し、ブレーキとなりかねない。エネルギー基本計画でも決定された原子力依存の低減・再生可能エネルギーの普及拡大という方向性を実現するために、「接続義務」や優先給電」を徹底する方向での制度構築を行っていくべきである。
また、2015年度から導入される予定の「連携線広域運用」は、今回の接続保留問題を解決するカギであるにも関わらず、ほとんど考慮されていない。例えば、今回の算定の対象に入っていない東京電力、関西電力、中部電力は、需要の多い地域である。再生可能エネルギーをさらに拡大していくために、電力網の広域利用システムの構築に向けた検討を進めるべきである。そのために、政府として再生可能エネルギー拡大の中長期的目標を掲げることも不可欠である。
・該当箇所: (1ページ)太陽光発電・風力発電に対する出力制御の対象範囲見直し
・意見内容:
「再生可能エネルギーの接続可能量」を前提としているが、その「接続可能量」の算定方法には、原発の「震災以前過去30年間の設備平均利用率(すべての原発の再稼働)」を前提としているなど問題がある。原案の「接続可能量」を採用せず、見直すべきである。
・理由:
「系統WGにおける各社接続可能量の算定結果について」によれば、再生可能エネルギーの「接続可能量」算定方法について、原子力、地熱、水力等をベース的な電源と位置づけ、「震災前過去30年間の設備平均利用率を用いて評価」している。原子力について、震災後には状況は一変している。老朽原発については今後の稼働のめどは立たず、比較的新しい原発であっても、活断層の評価や耐震基準、津波対策などの点で、震災以前とまったく状況は異なる。現に1年以上にわたって全国で1基も原発が稼働していない状況が続いている。すべての原発の再稼働を前提とし、さらに大間原発まで含めた「震災前過去30年の接尾平均利用率を用いての評価」は現実からかけ離れており、採用すべきではない。エネルギー基本計画に書かれた「原子力依存を可能な限り低減」する方針にすら反している。
この原子力の算定値は、「接続可能量」に大きな影響を与え、実状よりもきわめて不当に狭められている。これをもとに、出力制御が議論されているのが現状である。
・該当箇所: (3ぺージ)指定電気事業者制度
・意見内容:
指定電気事業者制度の対象拡大について、今後の太陽光発電導入に対してマイナス影響を与える可能性があるため、これは削除すべきである。
・理由
太陽光発電について大手電力会社の算定した問題の多い「接続可能量」に対して、すでに接続申込量を上回るレベルのため、九州電力など6電力会社が「指定電気事業者制度」に指定されている。指定された電力会社では、年間30日を超えても「無補償」で出力制御ができることとなっており、電力会社側が有利な制度である。改正案では出力制御の範囲が500kW未満の太陽光発電(10kW未満の住宅用も含む)にも拡大し、「接続可能量」を超えた太陽光の導入に対して大きな影響がある可能性がある。特に中小規模の再生可能エネルギー事業者や導入を検討する個人にとって脅威である
・該当箇所: 全体
・意見内容
出力制御や指定電気事業者制度の適用などにおいて、電力会社による恣意的な運用を防ぐために、情報公開を義務付け、監視・検証の仕組みを整備すべき。
・理由:
出力制御が行われる条件や情報公開義務などについては明記されていない。恣意的な運用を防ぐために電力会社に説明責任課すとともに、それを監視・検証する仕組みも必要である。
以上 |