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【要請書】 個人線量計での被ばく管理に異議あり! 「目標値の堅持と除染以外の手段での被ばく低減を」
「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」は、11日、除染の目標値の堅持と、除染以外の被ばく低減措置を求める要請書を、環境省、復興省、福島市、伊達市、郡山市、相馬市に提出しました。
この中で、「個人の被ばく線量」重視の考え方は、場の線量の管理を行う行政の責任をおろそかにするとともに、実質的に個人に被ばく管理の責任をおわせるものであり、基準値の緩和につながるとし、0.23μSv/時の目標値を堅持した上で、避難・移住や保養参加への支援など、除染以外の被ばく低減措置を求めています。
下記から個人賛同を募っています。ぜひご協力ください。
(フォーム1) https://pro.form-mailer.jp/fms/36d661ea63542
(フォーム2) https://pro.form-mailer.jp/fms/004558b363576
※一次締切の8月18日朝9時までに662名の方のご賛同およびたくさんのメッセージををいただき、ありがとうございました。同日の午後、環境省および復興庁に提出しました。
こちらに報告を掲載しました。
引き続き、賛同を募集しておりますので、よろしくお願いいたします。
2014年8月11日
環境大臣 石原伸晃殿
復興大臣 根元匠殿
福島市長 小林香殿
郡山市長 品川萬里殿
相馬市長 立谷秀清殿
伊達市長 仁志田昇司殿
放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会
(要請者については末尾に記載)
除染目標の見直しに関する要請書
環境省、復興庁および福島市等4市は8月1日に「復興の加速化に向けた国と4市の取組」中間報告を発表しました。この中で、「個人の被ばく線量に着目した放射線防護」を打ち出し、空間線量率が0.3~0.6μSv/h程度の地域において年1ミリシーベルトが達成できるとしました 。
私達は「個人の被ばく線量」重視の考え方は、場の線量の管理を行う行政の責任をおろそかにするとともに、実質的に個人に被ばく管理の責任をおわせるものであるという危惧を抱いています。
従来の大気汚染や水質汚濁などの規制においては、大気や水質などにおける環境中の汚染物質の濃度の基準である環境基準が大きな役割を果たしてきました。それなのに、なぜ、放射性物質においては「個人」の被ばく量を前面に打ち出すのでしょうか。
さらに、今回の中間報告は、これまで実質的な除染の目標値とされていた0.23μSv/h の達成が困難な状況のもとで、除染基準の切り上げにつながるのではないかとの危惧を抱いています。
よって、環境省、復興庁、4市に対して以下の要請をするものです。
[要請項目]
(1) 政府の除染対策地域の指定基準および除染目標として、少なくとも空間線量率0.23μSv/h基準を堅持すること。
(2) 除染により0.23μSv/hが容易に達成できないのであれば、住民の健康リスクを極力低減させるために自主避難者への支援、移住の支援、保養推進、保養計画への援助、検診の充実などあらゆる取り組みを充実すること。
(3) 「場の線量」と「個の線量」の二重の防護の考え方の堅持。ガラスバッチ配布による個人線量重視の被ばく防護の考え方は取らないこと。
[要請の理由]
(1) ガラスバッチによる個人線量測定結果にもとづく除染基準の見直しは被ばくの過小評価の危険性がある。
① 今回の除染基準の見直しは4市で行ったガラスバッチによる測定結果を平均化した値がその根拠になっています。しかし、個々人の生活パターンにより被ばく量は大きく異なります。
(伊達市のガラスバッチ調査結果でも約5万3千人中3mSv以上の人が657人、5mSv以上の人が76人います。「ファクトブック」データより計算)
どのような生活パターンであってもその個人の追加被ばくが年間1mSv以下となるような環境を作り出すことが大前提です。そのためには従来どおり空間線量率による除染の目標を堅持すべきです。
② ガラスバッチは放射線業務従事者が放射線管理区域内での被ばくを測るためのものであり、体の前面からの照射を前提としています。放射能が環境中に拡散しており全方位から照射される場合にはガラスバッチの測定結果は過小評価となります。この場合は約3割過小評価であるとの報告があります。
(参照:「放射線防護に用いられる線量概念」平山英夫高エネルギー加速器研究機構他 日本原子力学会誌2013.2)
③ ガラスバッチは成人作業者の胸部に着けることで正確な値が計測されるよう設計されています。装着忘れや不適正な装着方法などにより過小評価の危険性があります。なにより原発事故被害者である住民にガラスバッチ装着を求めその結果により被ばく量を住民に管理させることは人権上の問題でもあります。
(2) 被ばくリスク低減のためのあらゆる施策を考慮すべき。
報告書の中でも認めているように除染により0.23μSV/hを達成することが困難であるならば、そうした地域に住む住民には被ばくリスク低減のための、考えうるあらゆる方策を取るべきです。被ばくリスクを減らす手段としては除染だけでなく自主避難・移住希望者への住宅、生活、就職支援、保養の推進、健康診断の充実などさまざまな手段が考えられます。
今回の報告書が実質的に除染基準の切り上げとリスクコミュニケーションと称した一方的、一面的な情報周知以外に具体的内容がないのは住民の被ばくリスクを低減する立場からは極めて妥当性を欠いています。
(3) 「個の線量」を重視した管理は放射線業務従事者よりも高いリスクを住民に要求するものである。
労働安全衛生法・電離放射線安全規則では放射線業務従事者の被ばく防護のために「場の線量」と「個の線量」の二重の被ばく低減策を取ることを事業者に求めています。すなわち、事業者は年間5mSv以上(空間線量)となる恐れのある場所を放射線管理区域として指定し労働者がみだりに立ち入ることが無いよう管理することを求め、その上で業務の都合上一時的に立ち入る場合にその労働者個人の被ばく量(個人線量)を管理することを求めています。つまり「場の線量」と「個の線量」の二重の方策で安全対策を取るように規定しています。
(日本原子力研究開発機構・核燃料サイクル工学研究所放射線管理部の百瀬琢磨部長は2014年4月19日の個人線量計での調査結果報告会で放射線管理は一貫性が必要であり、個人被曝線量は「場の管理」には使えないと説明しています。)
中間報告では「個の線量」に注目してガラスバッチ配布による「被ばく量把握」と除染基準の見直しを提言しています。これは被ばくによるなんのメリットも持たない一般住民に対して、放射線業務従事者よりも実質的に高いリスクを取ることを求めるものです。
「法の下の平等」を求めた憲法14条からも、倫理的にも住民に放射線業務従事者よりも高い被ばくリスクを求めることは許されないことです。
以上
[要請者]
島薗進/上智大学神学部特任教授・グリーフケア研究所所長
崎山比早子/高木学校、元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士
西尾正道/北海道がんセンター名誉院長
山田真/小児科医、子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク代表
村田 三郎/阪南中央病院 副院長
高松勇/小児科医・医療問題研究会
吉田由布子/「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク
高橋誠子/福島市民
満田夏花/国際環境NGO FoE Japan理事
青木一政/福島老朽原発を考える会(フクロウの会)事務局長
放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会事務局
国際環境NGO FoE Japan内
携帯:090-6142-1807
Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219
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