脱原発・エネルギーシフトに向けて
【声明】トルコ・UAEとの原子力協定の国会承認に抗議
~原発に依存しない国際社会の実現への支援を~
本日、トルコとUAEとの原子力協定が国会で承認されました。
FoE Japanは多くの市民とともに、原子力協定の承認の問題点を指摘しつづけてきましたが、またもや、これらの声は国会に届きませんでした。
福島原発事故はいまだに収束せず、多くの被災者の人々が苦しんでいる最中、また放射性廃棄物の処分も解決の道が見いだせない中、原発輸出により、原発という「麻薬」を他国に押し付けることは道義的にも許されるものではありません。
日本が行うべきは、福島原発事故の教訓を踏まえ、原発に依存しない社会の実現を身を持って示すこと、また再生可能エネルギーや省エネ技術の面で国際的に貢献していくことではないでしょうか?
トルコでは、地元のシノップ市長をはじめ、多くの市民が原発建設に反対しており、命がけで抗議しています。地元の人たちは、シノップの美しい海と生態系を守りたい一心で、日本の国会議員宛にたびたび手紙を出してきました。最近では、4月4日付で100近くのトルコの市民団体が連名で国会議員宛に書簡を送っています。
https://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-3e84.html
このように地元からの強い反対があることに加え、とりわけトルコとの原子力協定には以下の問題があります。
1)通常は禁止される放射性物質の濃縮・再処理に関して「両締結国が書面により合意する場合に限り、トルコにおいて、濃縮または再処理することができる」とされています。
2)トルコは世界有数の地震頻発地帯であるが、周辺インフラの耐震性が低く事故対応が極めて困難です。
さらに、2013年度、国は日本原電に対して11.2億円の国税を支出し、トルコ・シノップ原発周辺の地層調査を行っていますが、この3月に提出されるはずの報告書はいまだに公開されておらず、地元住民や専門家を含んだ第三者の目が届かない状況にあります。
今後、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)の公的信用が付与されることが予定されていますが、この信用付与に当たっての審査体制が整っていません。従来は、原子力安全保安院が、事業者が提出した書類をもとに机上での確認を行っていましたが、まったくずさんな確認でした。原子力安全保安院がなくなった後は、原子力規制庁はそれを引き継ぐことを断り、宙に浮いた状況になっています。
もしも、この「確認」を経産省が行うことになれば、お手盛り審査となり、原発リスクをそのまま相手国に押し付けることとなります。
一方、原子力協定の承認は、原発輸出への「必要条件」を満たしたにすぎません。私たちは、今後とも、日本原電の報告書の完全公開や第三者によるチェック、JBICやNEXIの公的信用付与にあたっての環境社会配慮確認や原発事業の安全確認などにおいて、引き続き問題点を提起していきたいと考えています。
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