脱原発・エネルギーシフトに向けて
【声明】原発事故の反省なし:新しい「エネルギー基本計画案」は二重三重の民意無視
2014年4月11日
国際環境 NGO FoE Japan
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福島第一原発事故の甚大な被害。深い反省にもとづき、二度とこのような悲劇を繰り返してはならないと、固い決意から始まったエネルギー政策の見直しであったはずです。残念ながら 4 月 11 日に閣議決定された新たな「エネルギー基本計画」はその決意とは程遠く、 原発を維持し化石燃料利用を固持する 方向性を明確にしたものとなりました。原発は「重要なベースロード電源」と位置づけられ、「再処理やプルサーマル等を推進」。再稼働についても原子力規制委員会の判断を「安全」のお墨付きとし、積極的に推進する姿勢を明確にしています。「化石燃料への依存の増大」、「電源構成の変化による電気料金の上昇」、「温室効果ガス排出量の急増」など、すべてが原発停止に起因しているかのように必要性を強調する書き方は、311以前と何ら変わっていません。
FoE Japan は、最悪の原発事故を経験しその被害がいまだ続いている当事国である日本で、事故がまるでなかったかのようなエネルギー計画が決定されたことに強く遺憾の意を表します。とりわけ、策定プロセスの中で二重三重にも民意が無視され、民意の反映がないがしろにされてきたことに大きな危惧を表明します。
エネルギー基本計画の見直しは、 2011 年に始まっていたはずです。 2012 年 7 ~ 8 月には3つの選択肢に基づいて「国民的議論」が展開されました。その際の約9万件のパブコメ、そして9割近い「原発ゼロ」を求めた声は、市民運動の成果の一つです。「国民の過半が原発のない社会を望む」とまとめられた結果を受けた「原発ゼロ」方針を、 2012 年 12 月に発足した安倍政権は「ゼロベースで見直す」と表明しました。ここから既に、原発維持の方針は決まっていたのです。
2月25日に発表された政府案から与党内での議論を経る中で、当初冒頭に書かれていた福島第一原発事故の被害と反省への言及が 2 ページ目に移動したこと、再生可能エネルギーについても 2010 年の数字(20%)を基にした記述にとどまったことなど、細部の調整においても、原発を維持したい政府の意図が垣間見えていました。結果、与党内や国会内も含め各界からも批判の声が多数あがる中で、大筋は変わらず閣議決定されました。福島第一原発事故への真摯な反省もなく、このようなプロセスで国民生活に関わるエネルギー政策を決めたことは世界の市民からも問われるでしょう。 FoE Japan は、市民の声を伝え、環境団体や様々な団体間の連携ネットワークを強化して、脱原発・持続可能なエネルギー社会を実現する具体的アクションを続けていきます。
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※経済産業省 2014年4月11日 「新しいエネルギー基本計画が閣議決定されました 」
https://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140411001/20140411001.html
※FoE Japan緊急声明 2014年2月25日 「民意無視の「エネルギー基本計画案」に抗議」
https://www.foejapan.org/energy/news/140225.html
※FoE Japan声明 2013年12月16日
福島原発事故と「国民的議論」を無視した「エネルギー基本計画(案)」は撤回すべき
原発回帰や核燃料サイクル推進は非現実的
https://www.foejapan.org/energy/news/131216.html
※FoE Japan声明 2013年8月30日
2012年夏の「国民的議論」はどこへ?~エネルギー基本計画見直し
https://www.foejapan.org/energy/news/130830.html
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