脱原発・エネルギーシフトに向けて
みんなの海を守って!再稼働どころじゃない、汚染水問題
2013年8月16日
後手後手にまわった汚染水対策
東京電力福島第一原発の汚染水流出が深刻の度を増しています。海の汚染は着実に広がっています。汚染水の流出は事故当初から指摘されていましたが、東電は参議院選挙後までその事実を認めませんでしたし、国はそれを鵜呑みにしていました。
福島第一原発は地下水が多い場所で、事故前から一日当り850トンの地下水をくみ上げていた状態です。東電はなぜか海側の遮水壁の建設を優先させましたが、行き場のなくなった汚染水の水位があがり、溢れ出すことは自明でした。東電の対策の失敗を、資源エネルギー庁も原子力規制委員会も見過ごしました。
再稼働に偏重した原子力規制庁の体制
8月8日、FoE Japan、福島老朽原発を考える会、原子力規制を監視する市民の会などの主催で、汚染水に関する緊急集会と政府交渉が開催されました。
その結果、次のポイントが明らかになってきました。
・ 原子力規制庁は適合性審査は80人体制(のちに100人体制)、事故収束は40人。大飯原発の評価会合だけで、非公開の電力事業者ヒアリング含めて100回以上、一方で汚染水問題に関しては、2~6回程度。
・ 東電が実施するストロンチウムなどの地下水モニタリングの報告を受けているはずの規制庁が、モニタリングの空白期間(2012.12~2013.5)を見逃していた
・ 国の責任体制がはっきりしていない。汚染水対策の責任を資源エネルギー庁が負うのか原子力規制庁が負うのか政府側は答えられなかった。
タンクの高濃度汚染水と陸側の地下水とはレベルが違う
8月7日に原子力災害対策本部で示された国の方針としては、「汚染水はもらさない」です。一方、田中俊一・原子力規制委員会は、福島民友のインタビューに答え、「タンクにためられている汚染水について基準値以下であれば海に流すことを容認すべき」と発言しました。
高濃度汚染水が混ざるタンクの水と、以前から議論されていた内陸側からの汚染されていない地下水の放流ではレベルがまったく違います。
まずは、汚染水を止めるあらゆる努力を払うべきです。タンクの汚染水放流を今の段階で是認することはできません。
資源エネ庁の秘密会合:ゼネコンの営業の場に?
資源エネルギーー庁は、汚染水処理対策委員会を開催していますが、すべて非公開です。密室の中で、ゼネコンによるプレゼンテーションが行われ、鹿島建設の凍土による遮水対策が採用されました。「なぜ非公開なのか」と問う私たちに対して、資源エネルギー庁は、「企業秘密の問題で」と回答しました。
この大きな問題に、公の利益よりも企業秘密を優先させるのでしょうか。結果として、第三者の専門家の検証もへずに、凍土遮水壁が採用されましたが、これは果たして信頼のおける技術なのでしょうか。
凍土遮水壁は全長1.4kmで、完成すれば世界最長だそうです。福島第一原発を手掛けた鹿島建設が来年3月までに計画調査を行います。完成は2015年。建設に数百億円、維持費に数十億円かかります。
8月8日、FoE Japanをはじめとする複数の市民団体の呼びかけで、原子力規制委員会に、再稼働審査を中断し、汚染水処理に全力を尽くすことを求める緊急署名を提出しました。
2日間で、6,406筆の個人署名、214団体の賛同がよせられました。ありがとうございました。
福島の海は日本の海、世界の海でもあります。FoE Japanは今後も幅広い市民社会の声を結集して、この問題に取り組んでいきます。
*本記事は、2013年8月14日時点の情報をもとに執筆しています。
文責・問合せ:FoE Japan満田夏花/090-6142-1807
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