脱原発・エネルギーシフトに向けて
[声明]
「原発ゼロ」見直し~「国民的議論」結果の無視は許されない
12月26日に発足した第二次安倍内閣は、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」と決めた革新的エネルギー・環境戦略を見直すと表明しました。
しかし、この「脱原発」方針は、2012年夏に大々的に行なわれた「国民的議論」を経て9月14日に決定されたもので、9月19日にこれを踏まえて今後のエネルギー・環境政策を遂行すると閣議決定されています。
「脱原発」が書き込まれたこの戦略の背景にある国民的議論の結果を無視して、これを簡単に覆すことは許されません。FoE Japanは安倍政権に対し、国民の声と国民的議論プロセスを無視する「脱原発見直し」をただちに撤回することを求めます。
1.「国民的議論」の結果は無視されてはならない
「国民的議論」は2012年7月~8月に5つの方法で実施されました。1)専用ウェブサイトでの情報提供、2)パブリックコメント、3)全国11カ所での意見聴取会、4)討論型世論調査、5)民間主催説明会への協力、さらにマスコミなどの世論調査も参考とされました。
わずか40日の短い期間中に8万9千件以上のパブリックコメントが寄せられ、そのうちの87%が原発ゼロシナリオ、78%が即時原発ゼロを支持しました。
討論型世論調査についても、情報提供や討論をへて原発ゼロを選ぶ割合が増える結果となりました。各地の意見聴取会でも、圧倒的多数が原発ゼロを支持しました。特に福島の会場では、原発事故の直接の被災者として、原発事故による取り返しのつかない損害や深刻な影響がいまだ続いていることを訴え、ほぼ全員が原発の即時停止を訴えました。
世論調査や首相官邸前での抗議の声なども含め、「国民的議論」の結果として、「少なくとも過半の国民が脱原発を望んでいる」とまとめられました。このプロセスが無視されてよいはずがありません。
2.核燃料サイクル政策を撤回すること
脱原発の実現と矛盾するだけでなく、安全性、経済性、実現性すべてで破綻している核燃料サイクル政策(もんじゅ、六ヶ所村再処理工場)は停止・撤回すべきです。
使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の管理・処分方法が確定していない、そもそも地震国において安全な保管さえ困難な中で、これ以上核廃棄物を生み出すわけにはいきません。
さらに危険なプルトニウムを生み出す再処理は、核不拡散の観点からも即時中止すべきです。脱原発により、管理・処分すべき核廃棄物の総量を確定させた上で、その方法について具体的検討を進めなければなりません。
3.原発の新増設は行わないこと
「革新的エネルギー・環境戦略」では、原発の新増設を行わないことが基本原則として定められました。福島第一原発事故の被害状況だけをみても、原発はすでにエネルギー源として扱うべきではありません。
さらに、原発がほぼ停止していた2012年夏の経験から、原発稼働ゼロでエネルギー供給に問題がないことは明らかです。原発の新増設は、原則に従って当然認められず、加えて建設中原発についても撤回すべきです。
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