脱原発・エネルギーシフトに向けて
ヘルマン・シェーアのメッセージ ~エネルギー民主主義への転換
100%再生可能エネルギーで賄える社会を実現することは、私たち人類の至上命題であり、経済的・倫理的なレベルで正当化できる。今即座にエネルギーシフトに着手せず、いつまでも問題を先送りし続ければ、やがて人類全体が生活の危機に陥ることは不可避である。 |
「ソーラーの父」と言われ、再生可能エネルギーのパイオニア、ドイツ再生可能エネルギー法の生みの親として知られるヘルマン・シェーアの遺作『エネルギー倫理命法』。
そこでは、シェーアの持論「エネルギー民主主義」と「秩序ある自由主義経済」の思想が明らかにされており、エネルギー政策見直しの岐路に立つ私たちにも、大きな示唆を与えてくれます。
●ヘルマン・シェーアとは
ドイツの連邦議会議員(社会民主党)および欧州再生エネルギー協会(ユーロソーラー)の元会長。
ドイツ国内で太陽光発電を小規模単位で実現させ、電力会社へ再生可能エネルギーの定額買取りの義務付けを法案化するなど、ドイツを再生可能エネルギーの世界的リーダーへと導いたキーパーソン。
ちょうど昨年末から日本各地でも公開上映されている、再生可能エネルギーの普及を呼びかけるドキュメンタリー映画『第4の革命(Die 4.Revolution)』(www.4revo.org)の主演ナビゲーターとしても話題を呼ぶが、惜しくも2010年に急逝。
●ヘルマン・シェーアのメッセージ
・化石燃料と原子力の支配する、集中型の巨大エネルギー構造に依存する、既存の世界経済システムこそ、転換しなければならない。
・地域の住民たちが主導で、枯渇しない自然由来のエネルギーを自給的に永続的に利用することが、地域の民主主義と自治強化の基盤になる。さらに、地域の資源を循環させ、その恩恵を地域に還元させる、真の意味でのエコで公正な社会を形成する土台になる。
・原子力はもちろん、CCS、スーパーグリッド、メガソーラー、巨大風力発電プロジェクト、大企業主導の京都メカニズム(国際排出権取引やCDM)などは、従来の集中管理型のエネルギー経済システムを継承するものであり、「エネルギー民主主義」の原則に反する。
・既存のエネルギーシステムと、再生可能エネルギーをベースとする経済構造とは原則的に相容れない。
そのため、従来型にエネルギー産業は、自らの既得権益を維持しようとし、政策に圧力をかけ、再生可能エネルギーへのシフトを遅らせようとする。
・本気で導入しようとする多くの消費者市民の支持、世論の高まりにより政治を動かすことで、既存のエネルギー体制への固執から一刻も早く脱出し、エネルギーシフトを実現することが早急に必要である。
『エネルギー倫理命法』 |
【関連情報】
FoE Japanのエネルギー政策見直しに関する視点
>「エネルギー政策の見直しにあたって~脱原発の明確な決定と新しいエネルギー政策へ」