脱原発・エネルギーシフトに向けて
【声明】
原発事故に苦しむ人々の思いをふみにじる原子力協定批准に抗議
~原発事故の実像や被害の実態を海外に伝えてください~
本日、参議院でベトナム、ヨルダン、ロシア、韓国の4か国との原子力協定が一括採決されました。これにより4か国との原子力協定が国会で批准され、危険で無責任な原発輸出に道を開くこととなりました。
私たちは、この拙速な原子力協定の批准に対して、国民の意思や福島原発事故に今なお苦しむ多くの方々の思いを踏みにじるものとして強く抗議します。
日本政府は、下記のような問題に対して、何一つ責任のある説明を行っていません。
ヨルダンに関しては、前期の国会においても協定に関して審議されましたが、参考人招致により、冷却水の供給体制、事故時における100万人以上の周辺住民の避難などが極めて非現実的であり、テロのリスクも高いことが明らかになりました。これらの問題は何一つ解決されていません。
ベトナムに関しては、事業地がヌイチュア国立公園と隣接・重複していること、絶滅危惧種のアオウミガメの生息地となっていること、同国の施工リスクは高く施工面・運用面での事故の恐れがつきまとうこと、住民が事故のリスクについて知らされておらず、国家事業ありきで計画が進行していることなどの問題点があげられます。また、ベトナムにおいて原発導入のメリット・デメリットが十分議論されている状況ではありません。
両国とも、放射性廃棄物の処理についての見込みはたっておらず、福島原発事故クラスの事故が生じたときの損害賠償体制も不明です。
日本の公的資金を利用して、当該国の原発建設を支援するのであれば、日本政府は当然のこととしてその説明責任を負うはずです。
私たちは東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験し、現在も福島をはじめとして、多くの人々が放射能汚染に苦しんでいます。除染や賠償にかかる被害金額は計り知れません。同発電所が完全に廃炉となるまで最低30年かかると言われています。
原発に依存することの危険性を私たちは身をもって経験しています。「原子力協力」と称して海外に危険な原発依存体制を輸出するのではなく、原発事故の実像や被害の実態を伝え、エネルギー多消費体質から抜け出るための哲学や技術を共有することとこそ、真の原子力協力と言えるのではないでしょうか。
一部のプラント・メーカーの利益のために、税金や国際協力銀行による融資など公的な資金を使って、これ以上原発輸出が進められることに、私たちは強く反対します。
なお、採決に当たり、一部の民主党議員が反対・棄権を行い、処分が検討されていると報じられています。私たちは、民主党執行部に対して、今回の強引な協定採択の責任を問うと同時に、反対・棄権を行った良識的な議員に対する処分を行わないよう求めます。
国際環境NGO FoE Japan
問合せ:満田夏花 Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219 携帯:090-6142-1807
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