脱原発・エネルギーシフトに向けて
<声明>
原子力なしの未来を、子どもたちに! ~66回目の原爆記念日に寄せて~
国際環境NGO FoE Japan
8月6日は広島、8月9日は長崎の、それぞれ66回目の原爆記念日です。66年前に地獄のような放射線、熱線、火の海の中で亡くなられた大勢の方に、そしてその後も放射線被爆の後遺症で亡くなった大勢の方に深く哀悼の意を表すとともに、今なお続く被爆後遺症に苦しむ方々に心からお見舞い申し上げます。加えて今年は、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染にさらされる福島および近隣の方へも思いを重ねざるを得ません。放射能は海、大気、そして土壌を汚染し続け、原子力発電所周辺地域に住んでいた人は、長期間にわたる避難を余儀なくされています。また、高線量の汚染地域に住む大勢の方は、避難・疎開することもできずに日々不安を抱えて生活しています。
私たちは、世界唯一の被爆国として、放射線被害の恐ろしさを知っているにもかかわらず、「平和利用」として原子力発電と核燃料サイクル利用を推進し、エネルギー政策の根幹にすえてきました。多くの資金を投入し、リスクはもちろん経済面でも環境負荷でも、見合わないことを知りながら、「原子力は安全でクリーン」とするプロパガンダを繰り返してきました。度重なる故障や事故、労働者の健康被害の影響を過小評価し、原子力推進政策を貫いてきました。
しかし今回の事故で、原子力利用には計り知れないほどの代償が伴うことを、改めて思い知らされました。原子力中心の政策を進めてきた政府、業界、そしてその政策を容認してきた私たち自身も、将来世代に対して重い責任を負っています。
2011年の原爆記念日、私たちは、二度とこうした悲劇を繰り返さないために、原子力のない世の中を目指すことを決意します。そして原子力の恐ろしさ、放射線の脅威、そしてその被害の現状に向き合い、福島の苦しみが過小評価されることがないよう政府に届け、政策に反映されていくように働きかけていきます。そして、社会構造や、エネルギー利用構造の抜本的な改革に取り組みます。また、現実を海外の人々とも共有し、原子力利用の拡散防止にも取り組みます。
市民の手で政策と社会を変えていくには今しかありません。私たちの選択に、子どもたちの未来がかかっています。私たち自身で未来をつくっていくために、市民として声を上げていきます。