脱原発・エネルギーシフトに向けて
<共同声明>
自主避難も賠償対象へ 原子力損害賠償紛争審査会の合意を歓迎
~今後の議論に期待~
久しぶりの朗報です。本日行われた原子力損害賠償紛争審査会で、自主避難が取り上げられました。
人の健康にかかわる問題が後回しにされ、中間指針に盛り込まれなかったこと自体は問題ですが、自主避難を補償の対象にすること、今後、その基準を議論していくことが確認されました。
FoE Japanは、フクロウの会等とともに、この問題に最先鋭で取り組んでおり、いままでに審査会との交渉や、各委員へ要請書、アンケート結果、意見書の提出などの働きかけを続けてきました。先週は文科省前で要請行動を行ったところです。
今回このような方針が打ち出されたのは、市民運動の成果だと考え、ともにこの問題に取り組んできた皆さまと喜びあいたいと思います。今後の議論に期待し、以下の共同声明を発表しました。
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
本日8月5日第13回原子力損害賠償紛争審査会が開催されました。中間指針にこそ盛り込まれませんでしたが、審査会において、区域外避難者・自主避難者に関しても、合理的と考えられる一定の基準のもとに賠償の対象とされるべきことが確認されました。
私たちは、いままで置き去りにされてきた自主避難の問題が、ようやく審査会で議論され、補償の対象とされることが合意されたことを歓迎します。委員の多くが、自主避難者や自主避難をしたいが経済的な理由により避難できないでいるご父母の声、また、この現状を懸念し自主避難に対して正当な賠償を求める市民団体の声を真剣に受け止めてくれたことに感謝致します。
私たちとしては、自主避難された方々の判断の「合理性」を考える上で、以下の点について、改めて注意を喚起したいと思います。
1.既存の法令を重視すべきである
・放射線管理区域は年5.2ミリシーベルト:放射性管理区域では、労働法規により、18才未満の労働は禁じられている。放射能マークを掲示し、子どもを含む一般人の立ち入りは禁じられ、厳格な放射線管理が行われ、事前に訓練を受けた者だけが立ち入ることのできる区域である。
・法令による公衆の年間の線量限度は1ミリシーベルトである
2.国際的な経験を参考にすべきである
・例えば、チェルノブイリ原発の周辺国は、チェルノブイリ原発事故による避難基準について、年5ミリシーベルト(セシウムによる土壌汚染555キロベクレル/平方メートル)以上を移住の義務ゾーン、年1~5ミリシーベルト(セシウムによる土壌汚染185~555キロベクレル/平方メートル)を移住の権利ゾーンに定めている。
3.子ども、乳幼児、妊婦は、放射線に対する感受性が高く、リスクが大きい
4.水素爆発直後の避難の判断の合理性
・福島第一原発の水素爆発の直後、福島市や郡山市など、中通り地域の線量は急上昇し、福島市では20マイクロシーベルト/時を観測している。いつ次の爆発が起きてもおかしくなかったこの時点で、自主的に避難を決断した住民の判断はきわめて合理的である。
別添:「自主」避難者への賠償について~中間指針に盛り込む必要性とその根拠
以上
問合せ:
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) 090-8116-7155(阪上)
国際環境NGO FoE Japan 090-6142-1807(満田)