脱原発・エネルギーシフトに向けて
プレスリリース:「原発なしの社会を実現」菅首相の表明を支持、具体策要望
2011年7月14日
国際環境NGO FoE Japan
7 月 13 日、菅直人内閣総理大臣が首相官邸での記者会見において、「原子力の依存度を段階的に引き下げ、将来は原発なしの社会を実現する」との方針を表明しました。 FoE Japan は、各国の Friends of the Earth とともに、菅首相の脱原発方針を歓迎します。
3 月 11 日の震災による福島第一原子力発電所事故は、私たちがこれまで経験したことのない、将来にわたる計り知れない被害をもたらしました。放射能は海や大気、土地を汚染し続け、原子力発電所周辺地域に住んでいた人は、長期間にわたる避難を余儀なくされています。また、県内の汚染地域に住む多数の人は、避難・疎開することもできずに日々高い放射線被曝にさらされて生活しています。政府は、原子力政策の維持のために、放射能汚染の現状に対しての十分な調査、情報提供、対策を大幅に遅らせ、何十万人もの人を被曝のリスクにさらしています。
こうした現状に鑑みれば、日本はこれまでの原子力推進政策を即時に白紙撤回し、エネルギー政策を根本から見直さなければならないことは明らかです。 FoE Japan は、菅首相の脱原発方針について、福島原発事故への真摯な対応と日本のエネルギー政策の根本的見直しに向けた一歩であると評価し、その実現に向けて、早期に具体的な政策が打ち出されること求め、以下要望します。
1.原子力発電推進・擁護の国の方針を一刻も早く撤回し、今後 1 年以内に原子力発電からの脱却時期を決定すること。
2.福島県および周辺の被曝被害の最小化に向け、避難・疎開の促進も含めた抜本的な対策をとること。また被害者への賠償は国が責任をもって確保すること。
3.原子力安全指針を根本的に見直し、十分な時間をかけて徹底した安全性評価を行うこと。また、その終了まで停止中原子力発電所の再稼動を行わないこと。
4.経済産業省と原子力安全・保安院の分離をできる限り早期に実現すること。
5.東京電力の経営陣・大口債権者、株主の責任を不問にする「原子力損害賠償支援機構法案」は廃案とすること。
6.発送電の分離を実現させること。
7.エネルギー基本計画の白紙見直しにおいて、十分な情報公開と国民の意見の反映を確保した上で行うこと。
8.エネルギー基本計画の見直しに際し、既存の枠組みを根本的に見直し、省エネルギーと再生可能エネルギーを二本柱とすること。
参考> Global2000 ( FoE オーストリア)の声明より ( 2011 年 7 月 13 日、ウィーン)
Global2000 は菅直人首相の中長期的脱原発方針を支持する。加えて重要なのは、 11 日に既存の原発に対する日本版ストレステストの実施を発表したことである。停止中の 35 基について再稼動検討の前に十分な検査をしなければならない。また運転中の 19 基についてはまずは停止して安全性を再確認しなければならない。
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