プレスリリース・意見書
【声明】汚染水長期保管の真摯な議論に水をさすきわめて無責任な環境相の発言
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2019年9月11日
汚染水長期保管の真摯な議論に水をさす きわめて無責任な環境相の発言 東電福島第一原発の敷地にたまり続けるALPS処理汚染水に関して、9月10日、原田環境大臣が「海洋放出しか方法がないというのが私の印象だ」と発言しました。 しかし、これは根拠がないきわめて無責任な発言であり、環境大臣としても政治家としても不適切なものです。 第一に、経済産業省のもとに設置されている「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(以下ALPS小委員会)」において、現在、汚染水の取り扱いに関する検討が行われています。昨年8月、経済産業省ALPS小委員会が実施した公聴会では、漁業関係者も含めた多くの参加者から「陸上長期保管を行うべき」という意見が表明されました。これを受けて山本 一良委員長は、陸上保管案も一つのオプションとして検討することを約束。今年8月9日の第13回委員会で、ようやく陸上における長期保管の議論がはじまったばかりです。 第二に、「海洋放出しか方法がない」というのは事実ではありません。専門家や研究者も参加する市民シンクタンクである「原子力市民委員会」も大型タンクなどを用いた陸上長期保管案を提案し続けています。前述の第13回委員会においても、「福島第一原発の敷地の利用状況をみると、現在あるタンク容量と同程度のタンクを敷地の北側に設置できるのではないか」「敷地が足りないのであれば、福島第一原発の敷地を拡張すればよい。環境省が所有する中間貯蔵施設用の土地であれば、政府が調整すればよいのではないか」などといった意見が委員から出され、真剣な議論が交わされたところです。 こうした中、「私の印象」などとしつつも、「海洋放出しかない」というのは、閣僚、しかも地球環境保全や公害防止を任務とする環境大臣としてきわめて無責任な発言です。 環境大臣は、むしろ東電や経済産業省が安易な海洋放出を選択した場合、環境保全上の見地からそれをとどめる立場にあるのではないでしょうか。 さらに、原子力規制委員会の更田委員長も、処理水を希釈して海に流すしかないとたびたび発言。これについても、上記と同様の理由で不適切であり規制機関の長という立場を忘れた発言と言わざるをえません。 私たちは、こうした発言に強く抗議します。 私たちはまた、経済産業省ALPS小委員会が昨年公聴会を実施し、広く漁業関係者や住民、国民の意見をきく努力をした姿勢を評価します。経済産業省に対しては、公聴会における意見を尊重し、ALPS小委員会で陸上長期保管案に関する検討を継続するよう求めます。 |
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