原発輸出
原発輸出への公的支援!?~JBIC/NEXIの情報公開指針案にパブコメを(12月4日まで)
国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)は、海外で日本企業が行う原子力関連事業に関して、融資・付保を行う前に情報公開を義務づける指針を策定しようとしており、12月4日(月)まで一般からの意見募集を行っています。
https://www.jbic.go.jp/ja/efforts/environment/consultation/comments
原子力プロジェクトにかかる情報公開配慮確認のための指針(案)
概要 ※全文はこちら 〇指針の不遵守に関する異議申立を受け付け、必要な措置をとる 〇事業実施国で一般公開された文書のうち重要な文書は、JBIC/NEXIのウェブサイトにおいても公開する 〇公開するのは、①立地及び建設計画、②使用済燃料及び放射性廃棄物管理計画、③環境影響評価、④緊急時の準備と対応計画など。これらの情報は原則、融資等を意思決定する際にレビューすることとするが、「通知、避難に関する計画」や「保安に関する計画」等意思決定時に確認が困難な情報に関しては、モニタリングを行うこととする。 |
私たちは、JBIC/NEXIが、情報公開に関する指針を策定しようとしていること、そのために10回にも及ぶコンサルテーション(協議)会合を開催したことは評価します。
しかし、この情報公開指針案は以下のような問題があります。
・あいまいな文言が多く、公開すべき項目が具体的でないこと。情報公開が不十分でも、融資・付保を許してしまうこと ・情報公開のタイミングが、「原則融資等を意思決定する際にレビューする」とされているが、「通知、避難に関する計画」や「保安に関する計画」の情報公開が後回しにされてしまう恐れがあること ・融資の意思決定前に十分な時間的余裕をもって情報公開が行われるべきであるが、明記されていないこと ・情報公開の言語について、事業実施地域での言語に限られていること。英語など国際的なレビューが可能な言語での情報公開も必要であること。 ・住民への説明、住民からの意見の受付などについて、明記されていないこと ・指針の範囲が、情報公開にとどまっているが、本来であれば、他のセクターの事業と同様、その安全性に関して、JBIC、NEXIともが責任をもって審査を行うべきこと |
情報公開が徹底されれば、原発事業によって被害を受けるかもしれない住民が事前に情報を入手し、国際的な世論に訴えることが可能となります。ぜひ、みなさまからもパブコメを出していただければ幸いです。
提出する前に以下もご一読ください。
>原発輸出案件への公的信用付与の際の情報開示についてJBIC/NEXIに要請 ~少なくとも日本なみの情報開示を
パブコメの出し方 ※以下、JBICのサイトより、そのまま引用 ・意見募集期限:2017年12月4日(月曜日) 必着 (1)郵送 (2)ファックス (3) 電子メール ・意見記入要領 |
<解説>
原発輸出を公的資金で推進するため、日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)による融資・付保などが行われようとしています。例えば、右図のように、日本企業などが出資する現地事業会社に対して、国際協力銀行や日本のメガバンクによる協調融資、日本のメガバンクの融資に対する日本貿易保険による補償などが考えられます。
こうした公的資金を使った原発事業の支援に当たっての安全確認は内閣府内に設けられた検討会議が行うことになっていますが、形式的なものにすぎず、相手国の条約の加入状況や体制を問うだけであり、「安全確認」とは名ばかりです。
詳細はこちらを> 誰も安全を確認しない原発輸出の無責任体制
FoE Japanなどは、3・11前からJBICとNEXIに対して、原発事業への支援を行わないこと、日本国内と同等の審査と徹底した情報公開を行うことなどを求めてきました。JBIC/NEXIは、原発輸出支援の情報公開指針を策定すべく、公開のコンサルテーション(協議)会合を開催することを決定。コンサルテーション会合の開催に先立ち、FoE Japanは、他のNGOとともに、共同提言を提出しました。くわしくは、こちら。
10回のコンサルテーション会合を経て、「情報公開指針案」が取りまとめられ、現在、パブリック・コメントにかけられています。FoE Japanは、この過程で、透明性の確保や意思決定への反映、住民などによる異議申し立て手続きの確保、事故時の対応も含めた具体的な項目に関して、融資などの決定前に情報公開することを強く求めました。
私たちは、そもそも、原発輸出を行うべきではない、そして公的資金を使った支援を行うべきでないという立場です。これについては引き続き、国などに対して求めていきたいと考えています。
※以下、コンサルテーション会合の最終段階で、私たちが提出した要請書です。具体的な情報の開示と住民の十分な参加を、融資などの意思決定の前に行うことを求めました。
2017年8月16日
国際協力銀行 御中
国際環境NGO FoE Japan 原子力規制を監視する市民の会 原子力資料情報室 「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 協力:プラント技術者の会 原発輸出案件への公的信用付与決定前後に行う情報開示について
JBIC/NEXIによる原発関連事業への公的信用付与に関しては、すでに2016年1月28日付で全般的な提言書を提出している。 1.事業者による情報公開およびステークホルダー協議について (1)融資・付保決定前 事業者は、なるべく早いタイミングで、事業実施場所の事務所もしくは事業の影響を受ける住民が立ち寄ることが可能な場所およびウェブサイトにおいて、地域のコミュニティが理解可能な言語および英語にて、以下を公開しなければならない。また、影響を受ける住民等が、写しを取得できるようにしなければならない。 1)フィージビリティ・スタディ 3)原子炉設置許可書 事業者は、上記の内容について十分に公開し、地域住民やNGOを含むステークホルダーへの説明・協議を実施し、その結果を適切に事業計画に反映しなければならない。 JBIC/NEXIは、融資実施前に、事業者が適切に情報公開および協議を行い、ステークホルダーからの意見を計画に反映していることを確認する必要がある。 (2)融資・付保決定後 2.JBIC/NEXIによる情報公開 以 上
cc:内閣府原子力政策担当室
※4団体はかねてより、危険な原発事業へ公的資金を使った融資・付保が行われることについて警鐘をならし続け、2016年1月28日付で、JBIC/NEXIに対して包括的な提言書を提出しています。 |
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