原発輸出
【緊急声明】 日印原子力協定締結の中止を 日本は核廃絶にむけて行動を
▲原発建設に抗議するインド・ジャイタプールの人々(提供:ヴァイシャリ・パティさん)
11月11日に、来日中のモディ首相と安倍首相とによる首脳会談が行われ、これに合わせて、日印原子力協定の調印が予定されています(注1)。昨年12月12日に開催された日印首脳会議において、原子力協定が「大筋合意」され 、原子力協定に関する覚書(MoU)が締結されました。これについて、日インド共同声明の中では「両首脳は,日印民生用原子力協力協定に関し,両国政府間で合意に達したことを歓迎し,必要な国内手続に関するものを含む技術的な詳細が完成した後に署名されることを確認した」と書かれていますが、詳細はまったく明らかになっていません(注2)。
協定が締結に至れば、NPT(核不拡散条約)非加盟国とのはじめての原子力協定となり、日本がこれまで守ってきた核廃絶の国是を大きく損ないます。被爆国である日本が、NPTやCTBT(包括的核実験禁止条約)を批准せず、核兵器を所有するインドの立場を認めたことにはほかならず、国際的な核廃絶の努力に大きな悪影響をもたらすことになります。
広島・長崎の両市長が、日印原子力協定の中止を求めているのは、まさにこの理由からです。
最近では、日本は今年の国連総会で核兵器の禁止を求める交渉の開始に日本は反対票を投じ(注3)。そして、この直後に、NPT非加盟国との原子力協定の締結は、国際社会にどう映るでしょうか?核廃絶を口で訴えるだけで、行動はまったく逆のことをしている日本の態度は、長年核廃絶を求めて闘ってきた被爆者に対する裏切りともいえるものです。
日印原子力協定は、日本の平和主義を脅かすだけではありません。パキスタンとの軍拡競争を繰り返しているインドに対して原子力協力を行うことは、南アジアの安定を大きく損なうものです。インドはIAEAの追加議定書を批准していますが、民生利用と軍事利用の核施設を分け、 前者のみをIAEAの査察対象としており、原子力の軍事利用に歯止めをかけられる保証とはなりません。
また、インド現地でも多くの原発立地で市民による命がけの反原発抗議が展開されています。クダンクラムやジャイタプールなどでは建設に反対する住民の非暴力行動を、警察が暴力的に鎮圧し、死者やけが人もでています。
日本では福島第一原発事故の結果、多くの人々がふるさとを失う事態となりました。広範囲にわたり拡散され続けている放射性物質が国土を汚染し、事故の費用はふくれあがる一方です。このような状態で、無責任に原発を輸出し、他国の住民を危険にさらす非倫理性は到底看過できるものではありません。
2015年、持続可能な開発目標とパリ協定が採択されました。事故のリスクは計り知れず、核のゴミの問題も抱えた原発は気候変動の解決策にはなりません。むしろ大資本による原子力の推進は、権力の集中を招き、本当にエネルギーが必要な農村部のエネルギーへの権利を損なうでしょう。原発が気候変動対策を遅らせる原因にもなっていると指摘されています(注4)。
日本はインドとの原子力協定締結交渉をやめ、真に核廃絶に貢献する行動を起こすべきです。
以上
※日印原子力協定の問題点については、こちらをご覧ください。
https://www.foejapan.org/energy/export/pdf/India_Nuclear_FS_Short_Revised.pdf
注1:日印原子力協定署名へ NPT非締結国では初
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20161101/k10010751551000.html
注2:日印ヴィジョン2025 特別戦略的グローバル・パートナーシップ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page3_001508.html
注3:核禁止条約交渉入り、日米が矛盾の反対票 国連委採択
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H41_Y6A021C1EA2000/
注4:温室効果ガス削減目標、原発推進国の削減実績は反原発国の削減実績よりも低い
https://business.newsln.jp/news/201608241133020000.html
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※日印原子力協定締結に反対!~官邸前アピール行動(11月11日朝9時~)
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