eシフト
【eシフト声明】
原子力・エネルギー政策「国民的議論」無視はゆるされない
eシフトは、原子力・エネルギー政策見直しにおいて、市民の意見を聞く場を様々な手法により設け、反映すべきであると考える。2012年夏の「国民的議論」については、不十分な点はありながら、2ヶ月近い期間で、複数の手法がとられたことは、画期的であり、これを無視することは許されない。改めてプロセスを踏む場合には、市民参加の機会を再度十分に設けなければならない。
2013年3月に議論を開始した総合資源エネルギー調査会・総合部会の議論に対し、下記提言する。
1.総合部会の議論は、「革新的エネルギー・環境戦略」の議論を踏まえるべき
2013年3月15日に開催された総合部会第1回会合では、「革新的エネルギー・環境戦略」 の言及がなかった。しかし、2011年よりエネルギー基本計画の見直し作業を開始し、基本問題委員会での議論と「国民的議論」を経て、革新的エネルギー・環境戦略が策定された。震災・原発事故以降、日本のエネルギー政策について積み重ねてきた議論を無駄にするべきではない。特に、eシフトの視点からは不充分ながらも、長い議論の結果として「原発に依存しない社会」の実現へ向けての方針が出されたという事実は無視してはならない。資料を提示して再度取り上げるべきであり、この戦略について、9月19日に「踏まえて検討する」との閣議決定がなされたことについても、留意しなければならない。
2.2012年夏の「国民的議論」とその結果について取り上げること
政権の方針が変わったとしても、上記戦略の策定に至る過程の中で行われた議論や、2ヶ月の時間をかけ、様々な手法で大々的に実施された「国民的議論」の結果は重要な意味を持つことに変わりはない。8万9000件以上のパブリックコメントが寄せられるなど、広範な市民が積極的に参加したことは画期的な事実である。総合部会の中で、国民的議論検証会合の委員からのヒアリングなどを設けて改めて説明し、議論の前提とすべきである。
3.今後の市民参加・国民的議論について具体的に検討すること
総合部会ウェブサイトでは意見募集が開始されているが、今後それだけでなく、各地での意見聴取会や原発事故被災者からのヒアリング、市民団体からのヒアリング、討論型世論調査などを実施すべきである。その際には、福島第一原発事故の現状や被害状況についても提示すべきである。また収集された意見は、すべて公開し、意見への具体的対応について提示すべきである。
なお、2012年12月25日に原子力委員会から出された「国民の信頼醸成に向けた取組について(見解)」の中でも、今後のエネルギー政策や原子力政策に関する行政決定に関して、説明責任、正確な情報開示、透明性・公開性と決定過程への国民参加、わかりやすい説明の四つの基本的要件を目指すべきとし、国民が意見を述べる機会を設けることに努めるべき、としている(*)。
*原子力委員会 2012年12月25日
https://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/121225_1.pdf
4.総合部会委員構成は不適切、見直すべき
エネルギー基本計画の改定に向けて設置された基本問題委員会が廃止され、かつて原発推進政策を決定づけてきた「総合部会」での議論となっている。メンバーからは、「基本問題委員会」で「原発ゼロ」の立場であった8人のうち6人が外され、メンバー構成は原発維持・推進に大きく偏っている。しかも、委員長は新日鉄住金相談役の三村明夫氏で、基本問題委員会の委員長として不適任であった人物である。このような審議会構成は、幅広い意見を聞くことを最初から放棄したものであり、公正な議論が保証されているとは考えられない。批判的委員の追加、もしくは少なくともヒアリングを行うべきである。
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