脱原発・エネルギーシフトに向けて
原発事故被害者の救済を求める全国運動 請願署名Q&A
請願内容 |
Q:請願署名をすることによって、どのような効果がありますか?
A:.請願署名は、国会に提出され、採択の可否が決められます。多くの署名を集めることで、また、国会の場で議論されることにより、多くの被災当事者や市民がこの問題を重要だと考えていることを示すことができます。本会議で採択されれば、国会から正式に内閣府に送付され、国民の意思を正式に示し、政府に実施を促すことができます。
Q:「原発事故子ども・被災者支援法」とはどんな法律なんですか?
A: 被災者の置かれた深刻な問題に対して、原発事故子ども・被災者支援法は2012年6月21日、全会派・全国会議員の賛成のもと、国会で成立しました。「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分解明されていない」ことに鑑みて、「居住」「避難」「帰還」の選択を被災者が自らの意思で行うことができるよう、国が支援を行うことになっています。
具体的には、医療の支援、移動の支援、移動先における住宅の確保、学習等の支援、就業の支援、保養などです。
また、特に子ども(胎児含む)の健康影響の未然防止、健康診断および医療費減免などが盛り込まれています。
Q:なぜ、この法律が必要だったのでしょうか?
A:原発事故の被害に苦しむ多くの人たちの救済や権利の確立が進んでいません。広範囲の地域に放射性物質が拡散し、多くの人が、子どもを外で遊ばせられない、将来的な健康への不安がある、保養プログラムが十分でないなど多くの問題に直面しています。避難を余儀なくされた人の中には、経済的な苦境や生活の激変に直面し、多くの困難をかかえている人も少なからずいます。さらに、被ばく回避・低減政策は不十分であり、健康管理調査も福島県に限定されている上、内容が不十分です。国の責任において、被害者の支援を早急に行う必要がありました。
●被災者の声(Kさん/福島市) |
●被災者の声(Hさん/郡山市から静岡に避難) |
●避難者の声(Sさん/伊達市在住) |
Q: どのような人たちに支援が行われるのですか?
A: 「一定の基準以上の放射線量が計測される地域に、居住している/居住していた人」「政府による避難指示により避難を余儀なくされている人」「これらに準じる人」への支援が行われることとされています(第一条)。
また、第八条第一項では、「一定の基準以上」の地域を支援対象地域としています。
Q: 「原発事故子ども・被災者支援法」は実施されていますか?
A: 制定後1年以上たつのに、政府は同法の基本方針を策定しておらず、同法に基づく施策は実施されていないのが現状です(2013年8月現在、)。復興庁は、2013年3月15日、「原子力災害による被災者支援施策パッケージ~子どもをはじめとする自主避難者等の支援の拡充に向けて~」を発表しましたが、新規施策としては、高速道路の無料化などに限定されており、基本的には既存施策の貼り合わせです。
復興庁は、「基本方針を速やかに策定する」と言っていますが、被災当事者や市民の声を反映するか、現在、被災当事者が置かれた切実な状況を反映した十分な内容になるかどうか、危ぶまれます。
福島や各地において、原発被害者の声をきくための正式な公聴会の開催を求めること、また、パブリック・コメント(一般からの意見聴取手続き)にかかることになっているため、たくさんの意見を提出し、十分な検討と反映を求めていくことも必要です。
Q:なぜ、「少なくとも1mSv」なのですか?
A:国際的な勧告では、一般の人の被ばく限度は年間1mSvとされています。日本国内で、原子炉設置運転規則に基づく告示等、この国際的な勧告を踏まえて1mSv基準が採用されています。
低線量被ばくの健康影響に関しては、閾値なしの線形モデルが国際的に最も広く採用されています。これは、放射線被ばくと、その健康リスクは正の比例関係にあり、ある一定値を下回れば影響はないという閾値は存在しないというモデルであり、たとえ、低線量被ばくの影響が不明であっても、この仮定に基づいた政策とすべきというものです。年1mSvは、原子力利用者・原子力を推進してきた政府と社会との約束事とみなすことができるのです。
福島第一原発事故により、福島県をはじめ、多くの地域が追加被ばく線量1mSvを上回っている状況にありますが、この社会的な約束が反故にされている状況です。この地域に居住せざるをえない住民、同地域から避難せざるをえなかった住民、双方に対して国が支援を行っていくべきでしょう。
Q:現在の健康管理体制は何が問題なのでしょうか?
A.:現在、放射線被ばくによる健康被害の把握や防止を目的とした体系だった健診は、福島県による県民健康管理調査しか実施されていません。内容については、基本的には「甲状腺がん」「心の健康」「生活習慣病」に限定されたものとなっています。免疫機能の低下などあらゆる疾病が増加したチェルノブイリ原発事故の経験を踏まえれば、詳細な血液検査を含む健診の充実が必要です。
放射能汚染は県境を越えて広がっています。健康被害への対応は福島県外も対象とし、子ども被災者支援法の理念にもとづき、国が責任をもって実施しなければなりません。
請願内容 |
Q:原発被害の賠償請求の時効問題とは、簡単にいうとどういうことですか?
A.:福島原発事故を原因とする様々な損害、たとえば避難の実費、財物損害、風評被害や精神的慰謝料などは、民法上、3年以内に行使しなければ法的には時効によって消滅してしまう規定になっています。そのため、2014年3月以降に、被害者の損害賠償請求権が消滅しはじめるという問題があります。
東京電力は、仮払補償金を支払っている被害者に関しては、自ら債務の存在を認めること(債務の承認といいます)で、すぐに時効が来ないように配慮しています。しかし、対象の被害者についても、いつまで債務の承認がされ続けられるかわかりませんし、仮払補償金を受け取っていない被害者については対象になっていません。そのため、このままでは、大多数の被害者の損害賠償債権が消えてしまうのです。
東京電力は、時効が来てしまっても、個別の被害者の事情に応じて柔軟に対応すると言っています。しかし、個別柔軟に対応されてしまうということは、東京電力の判断次第で被害者の損害賠償請求権が消えてしまうかどうかが決まるということです。東京電力による判断にゆだねるのではなく、全ての被害者について、包括的に時効期間を延ばす立法をすることが必須です。
Q:すでに法律ができたと報道されていましたが?
A: 「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律」という法律が先の通常国会で成立しました。
しかし、この法律は、和解仲介手続きへの申立を行った被害者のみが対象で、仲介手続きが決裂して一か月以内に訴訟を提起しなければ時効の中断が認められないなど、厳しい要件が課せられています。
この法律は、そもそも全ての被害者について時効を中断させることを目的とした法律ではなく、この法律で時効問題が解決するとの一部報道は誤報です。そのため、新たな立法措置が必要なのです。
Q:どのような立法措置が必要なのですか?
A:
全ての被害者について、時効期間を伸ばす必要があります。しかし、その期間が何年あれば良いかは、現在のように、被害の全容さえはっきりしない状況ではわかりません。
そこで、まずは、一般の債権(売買代金など)の時効期間である10年間に時効期間を延ばす立法を実現し、そのうえで、制定後5年の時点で、賠償の支払い状況や避難状況、汚染水や風評被害の状況等の事実関係を確認し、時効期間の見直しを図るべきです。
また、将来心配される甲状腺癌などの健康被害や、今後に発覚するかもしれない新たな土壌汚染等については、現時点では権利行使しようがありませんから、損害が明らかになった時点から時効期間が始まるように、明確にしておくべきです。
◎関連情報
>子ども・被災者支援法の幅広い適用と早期実施、賠償の時効問題の抜本的な解決を求める請願署名
>「原発被害者の救済を求める全国運動」キックオフ
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