脱原発・エネルギーシフトに向けて
Q&A 運転再開問題
原発の停止や再稼動に関する記事が連日メディアをにぎわせています。ここでは、原発の運転再開問題についてやさしく解説します。
Q.そもそも原発って、今いくつあるの? |
A:日本に原発は54基あります。
いま動いているのはそのうち2基、東京電力柏崎刈羽原発6号、北海道電力泊原発3号だけです。
震災前から多くの原発が定期検査で停止していた上に、震災後、政府要請や新たに定期検査に入るものもあり、停止した原発がさらに増えました。
いま運転中の2基も、それぞれ3月下旬、5月初旬には定期検査を迎え、停止します。
原子力発電所の立地点 (2011年3月時点) 出典: 日本原子力産業協会 >拡大して見る |
Q.福島第一原発事故の後、政府は再稼働にあたってどんな対策を取っているの? |
A:大きく分けて3つあるといえます。
1)今ある原発を点検する対策
311後、政府は緊急安全対策を電力会社に命じました。その後、ストレステスト(耐性検査)を進めています。電力会社がストレステストの一次評価を実施し、保安院による審査、原子力安全委員会による確認を経て、地元の了解を取得し、総理大臣や経済産業大臣を含む4閣僚の政治判断の後、停止している原発を再開するとしています。
2)これまでの安全基準の見直し
いままで考慮されてこなかった災害を含めるよう、安全審査指針を見直しており、さらに原子炉等規制法を改正することで、原発は原則40年で廃炉することを決定しました。
3)政府の組織改革
原子力安全保安院が規制の役割を果たしてこなかったことから、4月に原子力規制庁の発足をめざしていました。(しかし、野党側や国会事故調査委員会などからも批判があり、法案の国会審議がいまだに始まっていないため、発足スケジュールは4月よりも遅れるでしょう。)
Q.国の安全対策に任せていいのかな? |
A:安全対策には、多くの問題があります。
その最たるものが、東電福島第一原発事故の教訓が反映されていないことです。
事故の原因はいまも国会の事故調査委員会が調査中で、まだ明らかになっていません。その原因をふまえずに点検や安全基準の見直し、そして、規制庁の制度設計を性急に進めてしまって、果たして「事故を繰り返さない」と言うことができるでしょうか。
Q.そんなに急いでいるのは、原発がすべて止まったら、電気が足りなくなるから? |
A: 政府は電力不足の恐れがあるとしていますが、その判断理由は不明確です。
今年の夏は国民が節電しないと仮定して必要な電気量を算定したり、他にどんな発電設備があってどれほど原発を肩代わりできるか明言していない点などが市民団体から指摘されています。
そもそも原発運転再開の問題は、電気不足への経済的懸念よりも、原発事故で脅かされる安全や暮らしといった社会的リスクを優先して考えられるべきではないでしょうか。今まで見過ごされ、福島での事故で改めて示された原発の安全性という問題を、今度は見過ごしてはいけないと思っています。
Q.大飯3・4号機の運転再開の審査はきちんとやってるの? |
A: 審査のやり方は到底妥当とはいえません。その理由は、
1) 透明性と住民参加の欠如
福島事故で、ひとたび大事故が起きれば広範囲に影響が及ぶことが明らかになりました。そうであれば、運転再開にあたっては、周辺自治体も含めた広い地元、そして国民的議論がなされるべきです。
しかし現在の国の審査は、原子力安全・保安院によるストレステスト審査→原子力安全委員会の「確認」→政府(4大臣)の判断→地元自治体の判断→政府の判断とされており、透明性と住民参加が確保されていません。
2) 拙速な議論
現在、安全委員会が保安院の審査の妥当性について「確認」中ですが、重要な問題が抜け落ちたまま議論が進められています。福島事故の原因究明がいまだに行われていない中、地震による配管破断の可能性も考慮されていない、津波の想定が福島第一原発を襲った津波よりも低いといった問題などについて、何ら議論が行われていません。
3) 保安院の不十分な審査
そもそも、保安院の審査自体が不十分です。保安院は、ストレステストを一次評価と二次評価に分け、一次評価は炉心損傷まで、シビアアクシデントの想定は二次評価で行うとしています。つまり、二次評価ではじめて、最悪の事態の想定が含まれるのです。しかし、関電をはじめ、二次評価結果を提出した電力会社は一社もありません。そんな中、拙速に保安院は審査書を作成し、原子力安全委員会に送ったのです。
大飯3・4号機の運転再開が決まれば、311以降初めて、停止中の原発が運転再開する例となります。
悪しき先例を作ってはいけません。
Q.ふぉえー!運転再開を止めるにはどうしたらいいの? |
A:原発再開の判断を、行政だけに任せず、私たち一人ひとりの声を届けることが大切です。
FoE Japan はいま、「原発再稼働、待った!」の声を政府(4大臣)に届ける全国署名と、国民の代表である国会議員に声を上げてもらう議員署名の2つの活動を行っています。
この事態を動かすには、たくさんの声が必要です。ぜひ参加してください。
そして、周りの人に広めることにもぜひご協力をお願いします。
●原発再稼働に待った!全国署名 【1次締切:3月14日】 ●国会議員に伝えよう!安易な原発運転再開に「NO」【3月上旬まで継続】 |
再稼働問題、いまが正念場! ○枝野幸男・経産相 |