現地レポート
現地レポート 緑の収奪から育成活用へ
砂嵐のなかの植樹作業(2001年4月) 緑がもどった活動地(2008年8月) |
活動を始めて13年が経ちました。ダチンノール村で植樹を始めたときは、こんな砂漠に苗木が育つのかと住民も私たちも半信半疑でしたが、すぐに草が復活し、植えた苗木が根付いたのを見て感激しました。
数十年前まで緑が豊かだったこの地域。過放牧や乱開墾で緑を失い、さらに春先の偏西風で砂が運ばれ、たちまち砂漠化したというものの、緑を育てる力は十分あることを実感しました。
やがて回復した場所を畑に活用し、草をとって家畜のえさに、育った木を枝打ちして燃料にと、半農半牧の暮らしに役立つようになりました。いまでは住民は熱心に緑化に取り組んでいます。
ここ数年は、地元政府が家畜の放牧制限や、緑化を推奨する土地政策を積極的に行うようになり、地域全体で緑化が進んでいます。
現地の状況が大きく変わったことを受け、私たちの活動も、地域に緑化を広げていくことから、取り戻した緑の維持・育成に重点を移しています。
昨年9月、活動地の村々を訪れました。盛夏が過ぎ、農作物の収穫が始まる頃でした。
ダチンノール村では、1期地区(2001年開始)、2期地区(2004年開始)に大きなポプラの林があり、トウモロコシやマメ、ソバの畑も広がりました。ニレやマツや黄柳、ドングリ、モミジ、牧草など、住民と緑化隊が植え、枝を挿し、種を蒔いたさまざまな緑が育っていました。 3期地区(2010年開始)も緑がだいぶ増えました。
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南ガラタシ村(2008年開始)、北ガラタシ村(2009年開始)でも、植えた苗木が元気に育っています。
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家庭農牧場支援で昨年緑化を始めたバイスグ村では、砂丘に枝挿しした黄柳がしっかり根付き、砂の流動を抑えています。まだ小さい苗木もこれからの成長が楽しみです。
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ダチンノール村で、村人が胸を張ってこう言いました。「心配するな。村のみんなで協力して管理しているよ」。活動初期には、苗木を食害から守る囲い柵を破って家畜を入れていた住民がいました。豊かでない草や小さな苗木の被害は甚大で、自然より人による被害の方が大きいほどでした。
植えたポプラによる防風効果で、飛砂の脅威はかなり緩和されています。防風林近くでは、舎育家畜用の草の刈入れ場所が広がり、あちこちで刈入れをする風景が見られました。餌を富栄養化するサイロを設置している家も多くみられ、家畜の冬の餌対策が進んできていました。大きく育ったポプラからは枝打ちにより冬の薪が豊富に得られるようになり、生活をサポートしてくれます。
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1980年代の土地から緑を収奪するだけの生活が、緑をとりもどし、その緑を育てながら活用する生活に変わっていることをさまざまな場面で感じました。もう砂漠に逆戻りすることはなさそうです。
ダチンノール村で始めた緑化活動は、緑化隊をはじめ多くのみなさまのご支援をいただき、周辺の村や学校、家庭へと広がりました。本当にありがとうございます。活動14年目、現地では厳しい寒さを過ごした草木がもうじき芽吹き始める頃です。今後も緑化の経過を見守り、現地の近況をお伝えします。
●関連情報
>ビデオレポート・ダチンノール村住民インタビュー(1)(2013.08.23)
>ビデオレポート・ダチンノール村住民インタビュー(2)(2013.10.30)