プレスリリース・意見書
【プレスリリース】
IPCC第五次評価報告書
将来世代が直面する危機的状況~日本は国際社会に削減目標を
国際環境NGO FoE Japan
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国連は今週ストックホルムで開かれていたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会で現在までの最新の科学的知見に基づく包括的な気候変動の第五次評価報告書の第一部の要約を採択しました。この中で人為的活動が気候変動を起こしている主要な原因であることが更に確実になったとし、頻繁な熱波や集中豪雨など予想される異常気象に警鐘を鳴らしています。
この報告書は来年(2014年)3月横浜でのIPCC総会で討議される第二部の影響評価と適応対策、4月ベルリンでの第三部・緩和対策と続き、10月にコペンハーゲンで統合された評価報告書となるその最初のものです。国連は同様の包括的評価報告書を過去4回出しており、国連条約や京都議定書設置に大きな役割を果たしました。
今回の第一部要約では、産業革命前から現在までに平均気温が 0.78 ℃ 程度上がりその大半が人為的活動によるものであること、今後 40 年前後で更に 1 ~ 2 ℃ 上昇し、今世紀末には 4 ℃ を上回る可能性を示しています。また、海面上昇の予測は前回の報告から上方修正し、今世紀中に最大 82 センチまで上がる可能性があるとしています。さらに、過去二回の評価報告と異なる新しい将来予測シナリオを導入し、国連で合意されている今世紀末 2 ℃ 未満の気温上昇目標を達成するためには、今世紀半ばで CO 2 の全球排出量を 1990 年比で半減以下( 14 ~ 96% )とし、今世紀後半までには化石燃料からの排出をゼロにし、さらに CO 2 を大気中から取り除く必要を示しています。
「今回の国連報告で改めて私達の将来世代が直面する危機的な状況が明らかにされています。また全世界で分かち合わねばならない、残された「環境スペース」がいかに限られたものであるかも示されています。現在までに排出されたCO2の大半が先進国によるものであり、熱帯地方を中心に途上国がより多くの被害を受けるものであることも忘れてはなりません。日本は2020年に向けた削減目標を国際社会に提示すべきです」とFoE Japan気候変動担当の小野寺ゆうりは述べています。
FoE Japanエネルギー政策担当の吉田明子は「日本のような先進国は90年代から続く石炭火力発電所増設をやめ、抜本的なエネルギー改革に取り組まなければなりません。発送電分離、再生可能エネルギーや省エネを中心にシステムを大胆に造り変えること、そして脱原発が急務です。原発は火力発電の増発を伴い気候変動対策にならないことは既に明らかです」と述べています。
今回の要約の基となっている国連報告書本文は9/30に発表されます。
●IPCC第五次評価報告書ウェブサイト
>https://www.climatechange2013.org/
●FoEインターナショナルのコメント
>https://www.foei.org/en/media/archive/2013/reaction-to-ipcc-climate-report
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国際環境NGO FoE Japan (担当:小野寺、吉田) Tel:03-6907-7217 Email:info@foejapan.org