プレスリリース・意見書
25%は国際社会への信義、原発・化石燃料依存は将来への背信
民主党の小沢前環境相が自民党に対して、温暖化対策基本法案から25%削減目標を削除した案を示していたことが5日、明らかになりました。これを受け、FoE Japan は以下のプレスリリースを発表しました。
【プレスリリース】
25%は国際社会への信義、原発・化石燃料依存は将来への背信
2011年 6月 7日
現在、ドイツのボンで国連気候変動枠組み条約補助機関会合が開催される中、震災後の日本の気候・エネルギー政策に世界の関心が集まっています。鳩山前首相が国際社会に約束した1990年比で温室効果ガスを25%削減する目標を維持・達成できるのか、はたまた、目標を捨てて温暖化防止に向けた地球規模の国際協力に背を向けるのか、日本の姿勢が問われています。
5月末にフランスで開催されたG8では、菅首相は国際社会に向けて25%削減目標の維持を公言しました。これは、震災を乗り越えて持続可能な低炭素社会を構築していく日本の意志として歓迎されるものでした。
しかしながら先日、民主党の小沢鋭仁前環境相より、国会に提出されている「地球温暖化対策基本法案」から25%削減目標を削除した修正試案が自民党に示されたと報道されました(*1)。これでは、国際社会に対する首相の約束が軽んじられ、「原発復旧の先行きにめどが立っていない状態では目標の達成は困難だ」とする日本経団連(*2)の主張を鵜呑みにしているかのように見られかねません。気候変動による影響を軽視するばかりか、温暖化防止に取り組んでいるすべての市民の意思と努力をないがしろにする行為と言わざるを得ません。
私たち日本人は、自然災害の脅威と、間違った気候・エネルギー政策がもたらした人災による甚大な被害を同時に経験してしまいました。だからこそ、生態系や人々の健康を脅かすことのないエネルギー社会へのシフトと、危険な自然災害から世界の人々を守ることの意義や重要性を他のどの国よりも理解しました。
温暖化対策としての原発推進は、国際社会からも市民社会からも危険性が訴えられ続けてきました。原発依存という自らの過ちの帰結として、この期に及んで、化石燃料依存を続行して世界の気候災害を悪化させることはもはや国際社会から容認されないでしょう。
3月11日以降、震災に苦しむ日本に世界中から温かい支援が差し伸べられました。日本の復興を願ってくれる世界の人々に感謝し、また被災された方々に復興への希望を抱いていただくためにも、悲劇が繰り返されることのないように、地球温暖化を含む自然災害への防災対策の強化とその原因を絶つための最大限の努力を行うこと、原発依存の温暖化対策における教訓を他国に伝えていくことこそが日本に課せられた責務だと考えます。
FoE Japanは、気候・エネルギー正義(クライメート&エナジー・ジャスティス)の観点から修正試案を即時撤回し、今国会において25%削減目標と主要3施策国内排出量取引制度、地球温暖化対策税、再生可能エネルギー全量固定価格買取制度を確保した法案の成立を強く求めます。
*1) 共同通信2011年6月5日
*2) 産経新聞2011年6月7日
>プレスリリース 25%は国際社会への信義、原発・化石燃料依存は将来への背信[PDF]