COP15 (コペンハーゲン会合)
「2020年までにヨーロッパの40%排出削減は経済的に可能」
FoEインターナショナル プレスリリース
2009年12月10日
コペンハーゲンでの重要な気候変動交渉で欧州連合が提示している不適切で不公平な排出削減目標に対し、新たな見解を示す調査結果がコペンハーゲンで発表されました。[1]
ストックホルム環境研究所とFoEヨーロッパの調査では、カーボン・オフセットなしに 2020年には1990年比40%の排出削減が可能であり、経済的にも引き合うものであるという調査が初めて立証されました。
これは、気候変動による最悪の影響を避けるに、物質的に豊かな国がしなくてはならない、科学的に立証された規模とスピードでの排出削減であり、先進国が過去の気候債務を返済し、公平で実効力のある気候変動合意を可能にするために必要な大幅削減なのです。欧州連合は現在のところ、2020年までに20%の排出削減目標を掲げており、他の先進国の大幅削減を条件に30%削減まで増やすことを宣言しています。
コペンハーゲンでクライメート・ジャスティス(気候の公平性)をもたらす合意に達することは非常に可能性が薄いと見られています。FoEインターナショナルは、ヨーロッパ諸国及び他の先進諸国が迅速な排出削減と、途上国の気候変動への支援に同意していないからだと考えます。
ストックホルム環境研究所(SEI)のチャールズ・ヒープス博士(調査の主監者でSEIの気候・エネルギープログラムの主任科学者)によれば、
「私どもの分析では、技術開発のスピードを控えめに見ても、2050年までの間に、ヨーロッパ諸国が大きなコスト負担なしで、大幅排出削減できる可能があるという結果がでています。削減に必要とされる規模とスピードは、一見きついものに見えますし、ヨーロッパ諸国の経済体制の方向転換を余儀なくするものかもしれませんが、何もしないでこのまま放置することはヨーロッパや世界にとって、信じがたい潜在的なコストとなり、より危険な未来への道に導くことになります。」
FoEインターナショナル代表ニモ・バッセイは、
「物質的に豊かな先進国には、今日の温室効果ガスの責任があり、2020年までに自国内で少なくとも40%の排出削減を達成するために、直ちに急速かつ法拘束力のある手段をとらなくてはならない。」と述べています。こういった削減は技術的・資金的に可能ですが、なによりも(先進国がそうしないことは)道義的にうなずけないものです。歴史的責任を考えるとヨーロッパや先進国は、もはや言い逃れのすべはないのです。」
調査報告書「気候変動対策におけるヨーロッパの責任分担:地球を守るための国内対策と国際的な責任」では、危険で不明確な解決方法に頼ることなく、1990年比で2020年までに最低40%、2050年までに90%の国内の排出削減に向けて、ヨーロッパが取るべき包括的道筋を示しています。このシナリオでは原子力、バイオ燃料、炭素回収・貯留などの方法は含まれません。
調査結果では、抜本的なエネルギー効率改善と、化石燃料からの段階的脱却の促進、再生可能エネルギーへの劇的なシフト、ならびにライフスタイル変化などの組み合わせを示しています。
調査対象となったライフスタイルの変化には、2005年には自動車による移動が75%だったものが、2050年には43%の移動が公共交通機関へシフトする必要が予測されています。このようなライフスタイルの変化によりヨーロッパでは、平均的ヨーロッパ人のカーボンフットプリントが2050年には今日の1/8になることも可能だとしています。
調査では、この筋書きによるコストと、途上国が気候変動に対処するための資金についてのEUの公平な分担額を算出しています。国内の積極的な排出削減と、途上国への適切な支援は、ヨーロッパが気候変動に取り組む際の公正な義務なのです。
[1] FoEヨーロッパとストックホルム環境研究所は、ブリュッセルにて12月1日に新しい報告を発行しました。タイトルは「気候変動へのチャレンジのヨーロッパの責任分担」
報告書全文はwww.foeeurope.org と www.sei-international.org/climateshareeuropeでご覧になれます。