COP16 (メキシコ・カンクン会合)
カンクンパッケージ、決裂は避けても京都議定書を失う恐れ
2010年12月11日
メキシコ、カンクン
カンクンで開催された国連気候変動交渉は、最も重要な法的拘束力のある先進国の温室効果ガスの大幅削減についての進展をなくして合意されました。FoEインターナショナルは、この合意は京都議定書が放棄されてしまう土台を作ったことになると懸念します。コペンハーゲン合意を引き継いだプレッジ・アンド・レビュー形式は、世界の気温上昇を5度まで引き上げてしまう危険があります。
FoEインターナショナル代表のニモ・バッセイは以下のように述べます。
「このカンクン合意は、全く不十分であり、破壊的な気候変動を悪化させる可能性があります。米国やロシア、日本のような気候変動に責任を持つ先進国により、必要とされた大きな前進に失敗しました。これは気候変動の影響にすでに直面している人々に対して大きな危険をもたらすでしょう。 しかしながら、結局、志の低い少数の国々による政治的な意思決定の影響を受けるのは私たち全員なのです。」
壊滅的な気候変動を防ぐために、京都議定書の下、炭素市場、オフセット、および「抜け穴」なしで、先進国が科学に基づき少なくとも40%の排出削減する目標を含む合意が必要です。炭素市場は、気候変動の解決策にはならず、先進国の排出の継続を可能にする手段にしかなりません。
最も重要な課題の解決を先送りにしたが、「グローバル気候基金」(文書では「グリーン気候基金」)の設立などやその他の分野では進展が見られました。途上国支援のための1000億ドルが約束されました。しかし、まだ公平性に欠けニーズに沿ったものではありません。先進国には、途上国が低炭素社会を構築するため、また深刻な気候変動影響に適応できるように公的資金を拠出する義務があります。世界銀行が気候変動資金の運営に携わるのは適切ではありません。
ルシア・オルティス(FoEブラジル)は以下のように述べます。
「森林破壊を止めるためのメカニズムが、先進国の排出を許すようなものであってはなりません。森林は炭素固定のためだけにあるのではなく、市場に利用されてはならないのです。森林保全のための資金は、先進国政府から拠出されるべきです。」
ニモ・バッセイは以下のようにも述べます。
「国連は、気候変動の危機に対して人類がすべき行動を課題として残しました。ただし、多国間プロセスの前進は見られました。国連は、国家と同様に強固な存在であるべきです。気候変動に責任を持つ先進国による妨害により、カンクンでの前進は失敗しました。先進国は、京都議定書を破棄しようとしました。次の会合では、京都議定書の継続、発展をしっかりと確保できるよう、より一層の努力が必要になります。」
ルシア・オルティスは以下のように述べます。
「私たちは、一貫して野心ある行動を求めて働きかけを続けたボリビアの勇敢な姿勢に拍手喝采を送ります。 ボリビアは、コチャバンバ協定の意志を携え、世界中からカンクンに集まった何千人もの市民の声に耳を傾けました。 世界中で、多くの人々がデモンストレーションに参加して、気候変動の危機の解決を要求しています。このムーブメントはカンクンでますます拡大しました。」
FoEインターナショナルは、世界が必要とする合意に達するよう、来年のダーバン会合(COP17)に向け各国政府に働きかけを続けます。