COP15 (コペンハーゲン会合)
COP15第1週目報告:密室から出て透明性のある交渉を!!
国連気候変動コペンハーゲン会合(COP15)は、2007年のバリ会合で「バリ行動計画」が策定されて以来、2年間にわたった議論の結論が出ることになっており、世界中の注目が集まっています。コペンハーゲン会合にはこれまでにないほどのメディアや研究者、産業界、そしてNGOが集まり、登録者数は会場の許容人数の倍になる3万人以上となりました。
コペンハーゲンでは、京都議定書の第一約束期間が終了する2013年以降の次期枠組が合意されることが期待されています。特に、少なくとも先進国の法的拘束力のある野心的な温室効果ガスの削減目標と途上国の気候変動対策のための先進国からの支援が約束されなければなりません。コペンハーゲン会合前に発表された米国と中国を含むいくつかの途上国の温室効果ガス削減目標が議論にどう影響を与えるかも注目されるポイントです。
開幕直後からコペンハーゲンは大荒れです。会議2日目、イギリスメディアにリークされたデンマーク首相の作った「ラスムーセン文書」が会場中に出回りました。いわゆる「コペンハーゲン・アコード」といわれる合意文書の案になるとの噂が飛び交いました。突如現れたこの文書は、公式な交渉の裏で一部の国々の間のみで秘密裏に作られており、これまでの国連の下での長い議論のプロセスがおざなりにされています。
国連合意がなぜ尊重されるか、それは経済大国も後発途上国も平等に情報を得る機会と発言権を持って議論する結果だからではないでしょうか。このプロセスを無視したコペンハーゲン合意が生まれたとしても、そこにクライメート・ジャスティス(気候の公平性)はなく、気候変動問題の真の解決は期待できません。
3日目には、気候変動枠組条約と京都議定書の両会議が中断されました。海面上昇で国を失う危機に瀕しているツバルが、自ら提出していた条約の下の新協定への提案書を議論する場(コンタクトグループ)を設ける提案をしたことを巡り意見が割れたのです。
ツバルと同様に気候変動影響により国が存続危機にあるAosis(小島嶼国連合)の国々はツバルを支持しましたが、他の一部の途上国が反対しました。確かにツバルの提案書自体は、先進国に法的拘束力を伴う野心的な削減目標を持たせる提案であり、多くの途上国からも支持されるものです。しかし、同様に日本やアメリカも提案書を出しており、ツバルの提案を議論する機会を設けることで、日本やアメリカの提出している実効力の期待できない提案も議題に上り、選択肢の一つになってしまう可能性が懸念されたのです。
5日目、条約と議定書の会議は中断されたまま非公開の会議が続く中、条約と議定書の作業部会の会議で議長案が配布されました。議長案は、現在も続けられる作業部会での文書作成作業で作られている文書案を要約したもののようでもあります。
この議長案が提案されることを事前に知らされていなかったこともあり、参加国の多くは困惑した様子でしたが、議論を前進させる可能性も期待されました。ただし、議長案は内容には多くの重要な要素が欠けており、未だ十分な文書だとは言えません。
この日、京都議定書は12回目の誕生日を迎えました。12年前のCOP3開催国として京都議定書を最も尊重すべき国であるはずの日本は、COP15では京都議定書の継続を強硬に拒否しています。米国や中国が入らない京都議定書では温室効果ガス削減の意味をなさないので、京都議定書の継続については議論をせず、全ての国が参加する条約の下でのみ議論するべきというのが日本の主張です。日本は条約の下の作業部会の議長案も、京都議定書と関連付ける項目が入っていたことから拒否しました。
温室効果ガスの排出を削減するための唯一国際法である既存の京都議定書を否定し、遵守制度の緩い新たな合意を提案しているように見える日本の姿勢は、市民社会からも厳しく批判されています。FoE Japanの参加する気候NGOのネットワークからも、環境大臣あてに書簡を提出し懸念を伝えました。
一週目の最終日には、世界中から集まった何万人ものNGOや先住民族の代表たちがコペンハーゲン市街から国連会場に向かって6kmものデモ行進を行い、世界のリーダーたちに向けて次期枠組の正しい合意を求めました。
この日は「グローバル・アクションデー」、世界中で気候変動問題の解決を求めて行動をすることが呼びかけられています。FoE インターナショナルは5000人もの市民を動員、コペンハーゲンの街に「クライメート・ジャスティス」を求めるたくさんの市民の思いの洪水を起こすデモンストレーションを行いました。
>https://cop15foej.blogspot.com/2009/12/blog-post_13.html
交渉はいよいよ閣僚級レベルに引き継がれます。二週目はさらに首脳級に引き継がれることから、NGOなどオブザーバーの入場数に制限がかけられる予定です。