南極保全
2013 年 CCAMLR 会議の争点
●前回会合の結果
7 月にドイツで開催されたブレマーハーフェン CCAMLR 特別会合では、ロス海および南極東岸海域の両海洋保護区案が提示され、メンバー各国より様々な課題・論点が挙げられました。
内容を分類すると、
1) 保護の程度
2) 保護対象となる海域とその面積
3) 研究および監視活動
4) 保護区管理方法
5) 保護の適用期間
の 5 つに大別されます。しかしロシア、ウクライナ両国が保護区設立に対する懸念を表明したことで、これらの実質的な議論が中断されてしまいました。ロシア、ウクライナが言及したのは、 CCAMLR に保護区指定する法的権限はあるのか、また保護区指定にあたり、 CAMLR 保護措置第 91-04 項にある海洋保護区の定義で網羅されていない内容を別途、定義し直す用意があるのか、というものでした。結果、ニつの保護区案は再度、 10 月の CCAMLR 年次総会にて討議される運びとなりました。
● ロス海海洋保護区案
今回の CCAMLR 年次会合前に、ロス海保護区案は修正が加えられ、保護指定対象海域が大幅に縮小されました。ロス海北東の海山域は保護対象から削除されたほか、北西の海山域では対象海域が大幅に縮小され、スコット海山付近でも対象海域縮小となりました。
● 南極東岸海域海洋保護区案
南極東岸海域海洋保護区案についても修正が加えられ、ブレーマーハーフェン会合で挙げられた課題に対応したほか、保護海域内における漁業ほか種々の活動を、保護区管理計画に基づきどのように管理していくかについてまとめられました。現状の本保護区案では、複数種の資源活用が認められています。具体的な修正内容は、保護指定域内での何らかの活動の計画が申請された場合は現行の CCAMLR 保護措置に基づく審査に加え、当該保護区の設立意義や価値を考慮して新たな評価を行うべきであるというものです。言い換えれば保護区の意義や価値を損なわない程度の活動であれば、保護指定域内でも実施可能となります。
● 保護の適用期間
ロス海および南極東岸の両海洋保護区案には、いずれも実際の保護適用期間に関する条文が盛り込まれています。どちらの条文も保護指定の見直しに関するものであり、見直しの結果如何で保護指定は継続もしくは終了、あるいは内容変更、新たな保護区の追加など、様々な道をたどることになります。