南極保全
CCAMLR第38回年次会合開催に向けて南極海洋保護区設立に関する要望書を提出
南極南大洋連合(ASOC)と国際環境NGO FoE Japanは、2019年10月21日~11月1日までオーストラリア、タスマニアにて開催される南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)第38回年次会合に向けて、2020年までに南極海の代表的なMPAシステム設立の決定を目指し、事態を早急に進展させるべく、日本政府に対してその議論を牽引するよう要望書を提出しました。
南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)2019年第38回年次会合開催に向けた南極海洋保護区設立に関する要望書
外務大臣 茂木敏充殿
環境大臣 小泉進次郎殿
農林水産大臣 江藤拓殿
水産庁長官 山口英彰殿
私たち南極南大洋連合(ASOC)と国際環境NGO FoE Japanは、CCAMLRにおける海洋保護区(MPA)制定を巡る議論に大きな関心を寄せている市民団体です。CCAMLRが代表的な海洋保護区(MPA)ネットワークを設立することについて、初めて公約したのは2009年のことで、間もなく20年が経過しますが、依然としてその目標は達成されていません。
G20諸国の学術会議であるS20も含めて多くの声がMPAの重要な役割を認めています。例えば、本年3月に日本学術会議が主催したS20の提言書も「海洋保護区(MPA)は愛知目標にある生物多様性とSDGs目標を通して海洋生態系を守り持続可能な開発を進めるための効果的な手法であるものの、まだ十分に活用されていない」と述べています。
2017年、ロス海MPAの採択および発効から2年、ASOCとFoE JapanはCCAMLRに対し、2020年までに南極海の代表的なMPAシステム設立を決定すべく、事態を早急に進展させるよう求めます。さらに第38回CCAMLR年次会合にあたり、下記のとおりCCAMLRに対し、加盟諸国による建設的な参画を得て以下を実現するよう求めます。
1. 気候危機および生物多様性危機を認識し、よく設計された、無期限で、大規模禁漁区域を有する強固なMPAの採択に尽力すること
2. 東南極MPA案については、MacRobertson、Drygalski、およびD’Urville Sea-Mertz海域を含め、無期限として今年次会合で採択すること
3. ウェッデル海MPAの第1フェーズを2019年に、第2フェーズを遅くとも2023年以前に、それぞれ無期限として採択すること
4. 海域1(D1)のMPAを、保全目標達成に不可欠であるとこれまでに特定されているすべての海域への禁漁区域の拡張をふくめ、無期限として今年次会合で採択すること
5. 海域9(D9)を含め、(条約海域の「生態系の代表的な海洋保護区ネットワークの構築」というCCAMLRの目標に比して)まだ代表的区域でMPAが指定または提案されていない条約海域にMPAを展開すること
日本政府は南極条約締結国の一員として長年の間、南極保全の議論に参加してきており、私たちは、日本政府の関与がCCAMLRの海洋保護区制定の側面においてプラスの影響があることを期待しています。そして日本政府がCCAMLR第38回年次会合においても、海洋保護区制定の議論を牽引していくこと望みます。
以上
Cc: 東京海洋大学 森下丈二 様
南極南大洋連合(ASOC)事務局長 クレア・クリスチャン
国際環境NGO FoE Japan代表理事 ランダル・ヘルテン
【連絡先】
国際環境NGO FoE Japan (担当:三柴)
Tel: 03-6909-5983 / Fax: 03-6909-5986