南極保全
【緊急プレスリリース】
南極海の海洋保護区設置の政府間交渉 直前!!~愛知目標に関わる11市民団体が政府に保護区設置提案への支持表明を求める要望書を提出!
プレスリリース PDF
豪タスマニアのホバートで10月19日から30日まで25カ国(EU含む)による南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)が開催されます。この会合の主要議題の一つとしてこれまで4年間南極沿岸に海洋保護区を設ける提案が合意を目指して議論されます。アメリカ、ニュージランド共同のロス海の提案とオーストラリア、フランス、EUによる東部沿岸の二提案で、どちらも合意されれば過去最大の海洋保護区の誕生となります。
2010年の名古屋での国連生物多様性条約会合(COP10)では議長国日本のもとで2011-2020年までの愛知目標が採択され、目標11で、最終的には「少なくとも陸域17%、海域10%」が保護地域などにより保全されるとの目標を掲げており、南極の海洋保護区提案はこれに沿うものです。また国連気候変動パネルIPCCの第5次評価報告書でも海洋の広域保護が海洋生物多様性の有効な保護策の一つに挙げられています。南極大陸西部では温暖化の影響が顕著に現れ始めており、南極海を主要な生息地とするペンギン他希少な生物種の避難場所の確保も目的とされています。
南極海での主要な漁業国のひとつである日本政府はまだ公式に海洋保護区提案への支持表明をしておりません。FoEJapanは国内11の環境団体の賛同を得て、、今回の国際交渉のなかで日本政府がこれら二提案を支持し、持続可能な漁業と生態系保存の両立と、愛知目標採択に尽力した議長国としてその達成に貢献するリーダーシップを求める市民要望書を農林水産省 水産庁、外務省、環境省(環境省は10/16提出)に提出しました。
詳細お問い合わせ: FoEJapan 小野寺ゆうり
email yurio@iea.att.ne.jp tel 03-6909-5983
(FoEJapanは南極南大洋連盟(ASOC)のメンバーです)
要望書賛同団体(団体名50音順)
イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
国連生物多様性の10年市民ネットワーク
コーラルネットワーク
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
公益財団法人 日本野鳥の会
バードライフ・インターナショナル
ペンギン会議
認定NPO法人 野生生物保全論研究会(JWCS)
▼南極海連合(AOA)ブリーフィングペーパーはこちら
南極海保護区設置についての要望書
要望書PDF
内閣総理大臣 安倍晋三殿
外務大臣 岸田文雄殿
環境大臣 丸川珠代殿
農林水産大臣 森山裕殿
水産庁長官 佐藤一雄殿
農林水産省顧問 飯野健郎殿
私たちは、日本政府にオーストラリア・ホバートで開催される南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の会合で、ロス海と東部沿岸に南極海保護区を設置することを支持されるよう要望します。
南極海域は、世界の海洋の10%を占め、地球上で最も手つかずの海洋環境が残されています。私たちは手遅れにならないうちに、日本がCCAMLRと共に広範囲に永続的な海洋保護区(MPA)と禁漁海洋保護区のシステムを構築し、重要な南極海の生態系を保護するよう求めます。乱獲や気候変動の脅威が拡大しており、今こそ南極海が直面する今日の脅威に対し、更なる保護策を講じてください。
CCAMLRは2012年までに南極海に海洋保護地域体系を構築すると表明し、数年にわたりロス海および南極東岸海域の保護区案を検討してきました。提案国は他の加盟国の意見を受け入れ提議案を大幅に変更してきました。これ以上の変更は、海洋保護区を事実上無意味なものにし、この素晴らしい生態系を十分に保護することができなくなる恐れがあります。また、国際的な基準と同様、海洋保護区は恒久的なものでなければならず、保護区に期限を設けるべきではないと考えます。
2010年に名古屋で開催された国連生物多様性条約会合(COP10)では愛知目標を採択し、その個別目標11に「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全」するとしています。
海洋に依存する国家として、私たちはとりわけ海洋や魚類その他の多くの海洋生物種を適切な管理で守り健全な状態で次世代に残すため予防原則に基づく措置に取り組むべきです。愛知目標を採択した議長国であり、またCCAMLRの加盟国である日本は、CCAMLRをリードし、10月に海洋保護区の設置が実現するよう、環境保護への強いコミットメントを示す時ではないでしょうか。
日本が賢明な選択をし、未来の世代のために南極海の保護に力を尽くすことを切に望むものです。