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土地収奪 ~フィリピン・バイオエタノール事業~
不当な農地利用を続ける事業者を農民が非難
2013年11月
「自分たちが植えたいのはコメやトウモロコシ。早く不当な土地リース契約を破棄し、サトウキビを撤去して。」
――この10月、現地のバイオエタノール事業者(GFII社とECOFUEL社)に適切な対応を求めるレターが農民団体DAGAMI(イサベラ州農民組織)から提出されました。
>現地農民団体の現地企業に対するレター(和訳)はこちら
伊藤忠商事・日揮が出資するフィリピン・イサベラ州バイオエタノール事業では、原料となるサトウキビ栽培地11,000ヘクタール(東京ドーム2,353個分)の確保を巡り、2011年から「土地収奪」やサトウキビ畑で働く農業労働者の労働条件等の問題が指摘されてきました。また、昨年、バイオエタノール工場の操業が開始した後には、悪臭や排水等による公害問題も工場周辺の住民の頭を悩ませています。
この間、FoE Japanは、他の日本のNGOと共に、現地企業に出資する伊藤忠商事へのレター提出や会合でのやりとりを続け、問題の早急な解決を訴えてきました。
2012年2月29日 日本のNGOによる伊藤忠への要請書
2012年10月16日 日本のNGOによる伊藤忠への公開質問状
2012年11月16日 伊藤忠による日本のNGOが提出した公開質問状に対する回答状
2012年11月30日 日本のNGOによる伊藤忠回答状へのコメント
2013年1月 日本のNGOによる継続的な指摘
2013年2月15日 伊藤忠による日本のNGOの追加指摘に対する回答状
2012年2月 日本のNGOによる伊藤忠回答状へのコメント
2013年6月20日 伊藤忠による日本のNGOの追加指摘に対する回答状
今回、現地の農民団体DAGAMIが現地企業に提出したレター(2013年10月1日付、同10月29日提出)のなかでは、この伊藤忠の直近の回答状(2013年6月20日)で「解決された」との認識が示されているイサベラ州デルフィン・アルバノ町のケースについて、現地企業の不当な対応が指摘されています。
同ケースでは、長年耕作してきた農民らではなく、第三者と土地リース契約を結んだ事業者が2011年にサトウキビを作付。その第三者に土地所有権がないと確認後も、ECOFUEL社によるサトウキビ栽培が続けられています。事業者は2013年6月、被害を受けた農民らに補償金を支払いましたが、サトウキビ撤去の要請には応じず、根本的な問題解決には至っていないのが現状です。
また、現存の第三者との土地リース契約が切れるまで待つことに農民らが合意する文書を事業者が偽造した疑いも出ています。「署名した覚えのない合意書に、なぜ自分たちの署名が?」――農民団体は同レターで、事業者の不正行為(署名の偽造)の疑いについても強く非難しています。
企業側はこうした土地問題について、「土地所有権等の問題が確認できた場合は契約を締結しない。契約締結済みであっても終了する」という基本方針を示してきました。農民が長年利用してきた土地で、植えたい作物を自由に耕作できるよう、企業側は基本方針に則った、早急かつ真摯な対応をとることが求められています。
>現地農民団体の現地企業に対するレター(和訳)はこちら
土地所有権等の問題が確認されたにもかかわらず、 植えられたサトウキビが撤去されぬまま残っている農地。 水田の奥に撤去されぬままのサトウキビ畑が広がっている (デルフィン・アルバノ町ビラ・ペレダ村) |