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土地収奪 ~フィリピン・バイオエタノール事業~
現地農民が日本企業マニラ支社前で問題を訴え
2012年3月14日
『イサベラ州住民にとって災いの種である伊藤忠、日揮、GFII、ECOFUELのバイオエタノール事業を中止して!」 『外国企業による広大な土地の収奪を止めさせよう!』 などと書かれた横断幕を掲げ、問題を訴える農民ら (2012/3/13 GFII本社前) |
3月13日、ルソン島北部にあるイサベラ州から32名の農民の代表らがマニラ首都圏を訪れ、日本企業が進めるバイオエタノール事業に対し、抗議の声をあげました。
農民らは、マカティ市にある伊藤忠商事マニラ支社とパシグ市にある Green Future Innovations Inc. (GFII 社:バイオエタノール製造・発電を行う現地企業。伊藤忠商事と日揮が75%を出資)本社の入っているビルの前で、横断幕やプラカードを掲げて、バイオエタノール事業の問題を訴えました。
「バイオエタノール事業で私たちの生活がよくなると言われましたが、農地を収奪されたり、農業労働者として働いても賃金が支払われなかったり、生活は逆に悪くなっています。農地を返してください!」
そして、イサベラ州から持ってきたというサトウキビを伊藤忠とGFII社の入っているビルの前に並べて、こう叫びました。
「このサトウキビは、ECOFUEL社(原料であるサトウキビの栽培・供給を行なう現地企業)が自分たちの合意無しにサトウキビを植えた農地から、引き抜いてきたものです。企業にサトウキビを返すために持ってきました!」
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左:『必要なのはエタノールではなく、農業へのサービスと土地の権利』などと書かれたプラカードや横断幕を持ち、問題を訴えるイサベラ州の農民ら/右:ECOFUEL社との契約のない土地から引き抜いてきたサトウキビと『イサベラ州住民にとってバイオエタノール事業は災いの種である』 と書かれたプラカード (2012/3/13 伊藤忠マニラ支社前) |
農民団体(KMP:フィリピン農民運動とDAGAMI:イサベラ州農民組織)は、伊藤忠とGFII社に、3月13日の会合を申し込んでいましたが、伊藤忠は「現地の問題については、現地企業が回答します」との理由で、また、GFII社は「マニラ本社には総務しかいないので、イサベラ州の事務所で会合を持ちます」との理由で、会合を断ってきたとのことです。
しかし、3月8日にイサベラ州庁舎で行なわれた農民団体DAGAMIとイサベラ州知事との対話集会には、DAGAMIからGFII社、および、ECOFUEL社に招待状を出したにもかかわらず、事業者からの出席者は一人もいない状況でした。
同バイオエタノール事業は、今年5月に商業生産を開始する予定ですが、日本企業、および、現地企業は、未解決の問題があり、また、同様の問題が拡大してきているなかで、農民・先住民族の生活・権利が深刻な影響を受けている事実を重く受け止め、早急かつ積極的な対応をとることが求められています。
以下、現地NGOのプレスリリース(和訳)です。
>「イサベラ州バイオエタノール事業の中止を!」伊藤忠商事マカティ事務所とGFII社オルティガス事務所前で農民が抗議活動 [PDF]