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フィリピン・ボホール灌漑事業
フィリピン中部地震・台風被災地寄付のお礼と現地報告
「フィリピン中部地震・台風被災地への寄付」の呼びかけに、皆さまから温かいご支援をいただきました。
どうもありがとうございました。
11月25日までにご寄付いただいた822,454円のうち、295,354円をボホール州の現地NGO・農民団体の救援活動に、527,100円を各地の農民団体を通じた台風被災地域の救援活動に振り向けさせていただきました。
現地の方々も、「日本の皆さんのご支援、本当にありがとうございます。くれぐれもよろしくお伝え下さい」とおっしゃっていました。11月29日から12月2日までボホール現地に行ってきたので、以下、現地の状況を報告します。
●ボホールの地震からの復興状況と余震
被害の大きかったボホール西部のいくつか町では、仮住まいのテントが多く見られました。倒壊、半壊、傾いた家屋・教会・学校も、そのままのところが多かったです。今後、建て直し・修理が必要になってきます。
12/1は日曜で、教会に出かける人が多くいましたが、どこの教会も建物に亀裂が入って危険なためか、屋外でミサが行なわれているところが多く見られました。
各町に続く道々では、土砂崩れの跡が見られました。余震でさらに石が転がり落ちてきているため、整備は随時行なわれている様子でした。
州都タグビラランでは、州庁舎の2階の壁が余震で崩れたそうで、皆、余震に神経を尖らせていました。3日の滞在中にも、比較的大きな地震(一瞬「ガクン」とくる)が2回ありました。皆、敏感に反応し、外に逃げ出していました。亀裂のある家に寝るのは怖いとのことで、「寝るときは外」という人もまだいるようでした。
それでも、地震から1ヶ月半の間に、落ちた橋のほとんどが架け替えられ、亀裂の入った道路も修繕されるなど、インフラ面での改善は進んでいるようでした。
テントの仮家 |
倒壊した家 |
土砂崩れ跡で再び土砂崩れ(フロント窓越し) |
余震で崩れた州庁舎2階壁 |
●台風30号(ヨランダ)のボホールへの影響
地震の被害が少なかったボホール北東部(レイテに近いほう)で、強風がひどかったようです。倒木等で家屋の一部が壊れるなどの被害がみられました。
台風の1~2週間前から、農民は台風に備え、稲の実りが十分でなくても収穫をしていたそうです。そのため農業被害はそれほど大きくなかったようです。また、家屋の近くにある高い木はあらかじめ切っておくように行政から指示があったそうで、家屋の周りにあるココヤシの葉っぱを切った跡が見られました。
レイテのトゴナン地熱発電所の電力に頼ってきたボホールは、台風後、停電が長引いていましたが、アキノ大統領のボホール視察(11/29)の数日前から、セブ島の電力が届き(セブからの海底送電線はないため、レイテを経由する迂回戦術)、震災のひどかった町以外の電気はほぼ戻りつつあるようでした。
●ボホールでの救援活動
現地NGOによる救援活動は、震災のひどかった町のなかでも、政府が行かない(幹線道路から外れる道に入らないと行くことができない)村での緊急救援物資の提供から始まりました(ボホール震災寄付295,354円のうち79,726円を充当)。
11月30日、12月1日には、医療ミッションが Loon町とCapigbian町で行なわれました。セブからも15人近くの医師が来ており、計20名の医師 (心理社会専門家数名を含む)が診察。ボホール大学の看護師専攻の学生ボランティアがアシスタントをしていました。
Loon町の会場は、狭い坂道を上ったところにあるBahi村。会場横にある村庁舎は半壊状態で、揺れの強さを物語っていました。Bahi村とその周辺の5村を対象にしたもので、200名近くが診察を受け、薬を処方してもらっていました。震災後の不安からくる下痢・ストレス等の症状が多かったよ うです。医療ミッションの終わりには、救援物資500袋の提供がありました。
ボホールは、緊急支援段階から復興段階に入っているように見受けられました。今後、ニッパヤシ、竹、釘など家屋の建築資材が必要になってきます。(ボホール震災寄付295,354円のうち215,628円を充当)
医師による診察 |
心理専門家による児童ケア |
診察後、処方してもらった薬の配給 |
セブからの救援物資500パック |
中身は米7kg、缶詰、干魚、油 |
救援物資の配給 |
●灌漑施設
JICA援助で作られた灌漑用ダム3つは亀裂も入らず、問題なかったようです。灌漑用水路は、コンクリート化してから2年も経たない水路に亀裂が入るなどの影響がみられました(ちょうど田植えの時期ですが、水路末端には相変わらず、水が届いていない状況も見られました)。
※ボホール以外の台風被災地域への寄付金(527,100円)について
フィリピン全域に支部をもつ農民団体が、これまで東サマール、セブ北部、 パナイ島の3ヶ所へ3,000袋の救援物資を届けました。FoE Japanの呼びかけで集まった台風被災寄付527,100円は、農民団体を通じて12月中旬に予定しているレイテ、サマール地域の救援物資の提供に充てられる予定です。
◎関連情報
>復興に向けて―フィリピン中部地震・台風被災地からの報告(2013.12.24)
>フィリピン中部地震・台風被災地への寄付のお願い(2013.11.15)
>フィリピン・ボホール灌漑事業