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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
【現地プレスリリース】
「インドネシア大統領は住民の声を聞き、バタン発電所を止めるべき!」
現在、インドネシア中ジャワ州で、日本が官民を挙げて計画している東南アジア
最大級のバタン石炭火力発電事業(2,000メガワット)は、現地住民の根強い反
対から、3年間、着工が遅れています。
この問題事業について、3月30日、現地住民・NGOがジャカルタで記者会見を開催。
昨年10月に就任したジョコ・ウィドド新大統領が先週、訪日中に同事業を推進す
る考えを示したなか、再度、同事業の中止を訴えました。
同事業には、日本から電源開発(J-POWER)と伊藤忠 が参画を決定。総額約
4,000億円以上もかかると見込まれている資金の約4割は、 国際協力銀行(JBIC)
が融資を検討中です。 日本の官民も、現地住民の声を真摯に聞き、賢明な判断
が求められます。
以下、現地住民・NGOによるプレスリリース(和訳)です。
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【現地住民・NGOプレスリリース】
「ジョコウィ大統領はバタン住民の声を聞き、バタン発電所の開発を止めるべき!」
ジャカルタ発 ― バタン住民代表らは本日、グリーンピース・インドネシアとともに、再度、中ジャワ州バタン県の石炭火力発電所の開発に対する抗議の声をあげました。
地権者、農民、漁民、農業労働者などで構成される住民代表グループは、ジャカルタを訪れ、ここ数ヶ月間のバタンの現状を訴えました。代表者らはまた、バタン発電所に関する土地収用手続きが完了したとする政府側の見解についても、(それが事実でないことを)明確化しました。
ジョコウィ(訳者注:ジョコ・ウィドド大統領の通称)大統領は先週、訪日中に日本のビジネス界とのフォーラムのなかで、バタン発電所の土地収用はすでに片付いており、問題は解決済みと述べました。
「バタン発電所の土地収用手続きは完了済みとしたジョコウィ大統領の話は、彼の部下の誤った報告に基づいたものに違いありません。その報告は現場の事実に基づいたものではありません。実際、今日まで、地元市民が数十エーカーを依然として保有し続けています。」とグリーンピース・インドネシアの気候・エネルギーキャンペーン・チームリーダーであるアリフ・フィヤントは述べました。
この汚染エネルギー巨大事業に抗議する住民は、脅迫、犯罪者への仕立て上げ、暴力など、さまざまな人権侵害を被ってきました。地元の地権者の一人であるチャヤディは、身に覚えのない罪状で7ヶ月間、刑務所での苦しい生活を送りました。
「私は、村の仲間であるチャーマンと一緒に、7ヶ月以上、刑務所の中にいました。その理由はまさに、私たち二人が地元でのバタン発電所(建設)に抗議しているからです。私たちは自分たちの生産性の高い農地が壊され、石炭火力発電所に転用されてしまうのを決して目にしたくありません。」と、カランゲネン村の住民の一人であるチャヤディは述べました。
何千人ものバタン住民が、バタン発電所開発の脅威から彼らの生産性の高い農地、また、豊かな漁場を守るため、4年近くにわたり闘ってきました。
バタン住民は、バタン発電所に関し、何十回と抗議活動をし、また、さまざまな大臣らとのヒアリングを行なってきました。住民らはまた、日本の国際協力銀行(JBIC)や国会議員にも、JBICがバタンに融資すべきでないと要請してきました。昨年の大統領選では、ジョコウィ大統領がバタンでの選挙活動の際に公約したとおり、バタン住民の声を聞いてくれるだろうと大いに期待した同事業地域の100%近くの住民がジョコウィ大統領に投票しました。
「再度、繰り返しになりますが、私たちは自分たちの村に同発電所が建設されることに抗議します。大統領は、大統領選で彼を強く支持した私たちの声を聞くべきです。100%近くのバタン市民が彼を選びました。彼が私たちの声を聞いてくれると信じたからです。ジョコウィ大統領が彼の優先課題として、食料安全保障に配慮すべきだと私たちは考えます。私たちの土地や海はジャワの中でも、最も肥沃で生産性の高いところです。したがって、この地を汚染エネルギー発電所のために使うのは適切ではなく、食料安全保障を掲げるジョコウィ自身のビジョンにも一致しません。」とカランゲネン村の市民であるロイディは述べました。
約226ヘクタールの土地が、バタン発電所の建設に必要とされています。ビマセナ・パワー・インドネシア社(BPI)、バタン県政府、中ジャワ州政府はいつも、石炭火力発電所の建設予定地である同地が不毛で、生産性の低い土地であると話してきました。実際には、BPI社が発電所の場所として切望している同地は、灌漑設備のあるコメ耕作地で、年3回の収穫が可能です。
「ジョコウィ大統領の『Nawacita』ビジョン(訳者注:サンスクリット語で「9つの国家優先プログラム」を意味する)の一つは、インドネシアの食料安全保障の達成ですが、ジョコウィ大統領がバタン石炭火力発電所を押し付けるなら、彼自身のビジョンに背くことになります。食料安全保障の達成を支えるため、生産性の高い農地は維持するべきです。ジョコウィ大統領は、食料とエネルギーの安全保障の達成にインドネシアを導くべきです。エネルギー安全保障を達成するため、ジョコウィ政権は、再生可能エネルギーの広範な採用を支援し、インドネシアにエネルギー革命を起こさなくてはなりません。」とアリフ・フィヤントは述べました。
連絡先:
Arif Fiyanto, Climate and Energy Campaign Team Leader of Greenpeace Indonesia, 08111805373
UKPWR協会、カランゲネン村住民 ロイディ0812 2804 6640
カランゲネン村住民、地権者 チャヤディ
Rahma Shofiana, Media Campaigner of Greennpeace Indonesia, 08111461674
(翻訳:FoE Japan)
(以上)
※インドネシア・バタン石炭火力発電事業に関する詳細はこちらをご覧下さい。
→https://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html