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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
インドネシア・バタン石炭火力発電事業:地元でつづく深刻な人権侵害
――治安部隊との衝突で住民がまた負傷
2014年 5月10日
現在、国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しているインドネシア・中部ジャワ州バタン石炭火力発電事業を巡り、5月6日、現地で抗議活動を行なった住民らが再び、治安部隊と衝突し、暴行を受けるという事態が起こりました。現地NGOによれば、警察が住民を挑発したため、衝突が起こったとのことで、少なくとも3名の住民が負傷したとのことです。
今回、住民が抗議活動を行なったのは、地元バタン県にある検察庁の前です。身に覚えのない罪状で有罪判決を受け、7ヶ月の禁固刑を言い渡された反対派のリーダー2名に対する団結の意を示すことが一つの目的でした。現在、この2名のリーダーは投獄されていますが、1名は土地売却を拒んでいる農民、もう1名は小作農民です。
写真左「検察庁前での抗議行動」(2014年5月6日 地元住民撮影)
写真中「検察庁前での抗議行動2」(2014年5月6日 地元住民撮影)
写真右「Tolak PLTU Batang「バタン石炭火力発電所を拒否する」」(2014年5月6日 地元住民撮影)
(*今回の写真の出展はすべて地元住民です。)
この東南アジア最大級の石炭火力発電所(2,000メガワット)の建設には、J-POWERと伊藤忠が参画を決定。また、総額約4,000億円以上がかかると見込まれている資金の約6割をJBICが融資しようと検討中です。
しかし、肥沃な農地や沿岸の漁場など生計手段、また、健康への影響を懸念する地元住民が同事業に対する強い反対の声をあげ、地元や首都ジャカルタで何度も抗議活動を繰り返しています。これまでにも、そうした抗議の声を抑えようとする軍・警察の治安部隊により、負傷者が出る事態が起きていました。また、地元政府当局が反対派への見せしめのため、住民リーダーを犯罪者に仕立て上げるといった類の人権侵害も以前から見られました。
同事業は、日本とインドネシアの旗艦事業として進められていますが、日本政府・JBICは、度重なる地元での深刻な人権侵害を重く受け止め、インドネシア政府に対し、こうした人権侵害を早急に止めるよう、強く申し入れるべきです。また、地元での強い反対の声を真摯に受け止め、同事業への融資を拒否すべきです。
以下、現地の住民組織とNGOによるプレスリリースを日本語訳でご紹介します。
*こちらからダウンロード下さい。
>同事業の詳細については、こちらをご覧ください。
https://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html