政策提言 個別事業モニタリング 気候変動と開発 資料室 参加しよう
インドネシア・バタン石炭火力発電事業
【緊急賛同募集】
バタン石炭火発事業に対する日本の公的融資供与の拒否を求める緊急要請書
団体賛同の締切:9月24日(木)まで
賛同集約先:hatae@foejapan.org
※日本のNGO4団体(国際環境NGO FoE Japan、インドネシア民主化支援ネットワーク<NINDJA>、「環境・持続社会」研究センター<JACSES>、気候ネットワーク)から、同様の内容の緊急要請書を9月18日付で提出してあります。
日本が官民を挙げて推進しようとしている東南アジア最大級の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」(総事業費約4,800億円)の建設予定地で、地権者の同意もないまま、インドネシア国軍が未売却の農地につづく灌漑設備を破壊してしまうなど、深刻な人権侵害が続いています。 (左:現地から寄せられた写真) 9月11日からインドネシア国軍・工兵隊の重機による整地作業が再開。瞬く間に未売却の農地に続く灌漑用水路にも土が入れられ、灌漑用水が遮断されてしまった。農民は水が届かない状況のなか、実質、農業を続けられない状況に陥っている 同事業は、電源開発(J-Power)、伊藤忠が出資を決め、国際協力銀行(JBIC:100%政府出資)が2,000億円近くの融資を検討中ですが、農業・漁業などへの影響を懸念する地元住民の根強い反対により、4年近く着工が遅れてきました。現在も67名の地権者が土地売却を拒んでいます。7月末には住民3名が来日し、JBICへ異議申立書を提出した他、地元の軍・警察による脅迫・不当逮捕など、同事業に伴う深刻な人権侵害の状況が、日本の市民に伝えられてきました。 |
このような状況を受け、地元の社会的合意もなく、抑圧的な形でしか進めることのできないような同事業に日本の公的融資が使われることのないよう、日本政府・JBICに対し、以下の要請書を提出します。(要請書では、JBIC環境ガイドラインの規定に則り、融資しないよう求めています。)
ご賛同下さる団体の方は、9月24日(木)までに
●賛同団体名(日本語と英語表記、両方) を
●FoE Japan波多江(hatae@foejapan.org)
までお知らせください。要請書は9月25日(金)に提出予定です。
要請書への賛同は海外の団体にも呼びかけていますが、日本の皆様からも多くのご賛同がいただけますようお願い申し上げます。
>以下、緊急要請書の全文です。(PDFはこちら)
-----------------------------------------------------------------------
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
財務大臣 麻生 太郎 様
国際協力銀行 代表取締役総裁 渡辺 博史 様
日本の公的融資供与の拒否を求める緊急要請書
現在、国際協力銀行(JBIC)が融資を検討中の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」の建設予定地では、9月11日からインドネシア国軍・工兵隊の重機による土地整備作業が再開され、地権者が土地売却/収用に合意していない農地につづく灌漑水路が同作業により遮断されたり、土が灌漑水路にまで入れられるなど、灌漑設備がほぼすべて破壊されてしまいました。結果として、灌漑用水が届かないため、当該農地の大部分で農作業ができない状況になっています。私たち20ヶ国の63市民団体は、このように住民の意見や権利を無視し、非常に抑圧的な人権侵害を伴う形で同事業が強行されていることに強い抗議と遺憾の意を示すとともに、JBICが同事業に融資しないよう要請します。
同事業はこれまで、農業・漁業など生計手段の喪失、および、公害による健康への影響等を懸念する住民が続けてきた根強い反対運動により、4 年近く着工が遅れてきました。反対する住民のリーダーや事業予定地内の土地売却を拒む地権者らに対し、インドネシア国軍・警察等による脅迫、暴力行為、および、不当逮捕・拘禁など、さまざまな人権侵害が繰り返されてきましたが、今日まで、事業予定地内の土地を所有する67名の地権者らは、依然として土地売却を拒否してきました。中ジャワ州スマラン市では、土地収用法(2012年法律第2号)に基づく同事業における収用手続に対する違法性を問う行政裁判も起こされ、公判が続いています。
今年7月29日には、住民23名からJBICに異議申立書が提出され、生活悪化や人権侵害等、同事業が多くの点で『環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン』(以下、ガイドライン)の規定に違反していることも指摘されています。JBICは『ガイドラインに基づく異議申立手続要綱』に基づき、プロジェクト実施主体にすでに同申立書の意見を伝えており、プロジェクト実施主体はガイドラインに則った適切な環境社会配慮を求められているはずでした。
しかし、この1ヶ月半、状況は改善されるどころか、さらなる人権侵害の事例が報告されています。現地では、(事業推進派に雇われたと思われる)チンピラが真夜中に地権者の家を訪れるなど、土地を売却するよう脅迫が続きました。また、8月28日の着工式に出席するために現場を訪れたジョコ・ウィドド大統領に事業反対の声を伝えようとした反対派住民らは、軍・警察の高圧放水を受け、式典の場所に近づくことすら許されませんでした。そして、9月11日からは、地権者や農民の「同意」もないまま、インドネシア国軍の重機による土地整備作業が再開され、年3回のコメの収穫が可能な肥沃な農地に水を送り続けてきた灌漑設備がいとも簡単に破壊されてしまいました。
こうした現状は、同事業における環境社会配慮に関し、重要な役割を担うプロジェクト実施主体やインドネシア政府が、ガイドラインに沿った適切な環境社会配慮を実行する意思を現時点で持ち合わせているのか大変疑わしいばかりでなく、将来にわたって適切な環境社会配慮を実施していく能力があるのかという点についても、極めて疑問を呈するものです。
JBICガイドラインでは、「環境レビューの結果、適切な環境社会配慮が確保されないと判断した場合は、適切な環境社会配慮がなされるよう、借入人を通じ、プロジェクト実施主体者に働きかける。適切な環境社会配慮がなされない場合には、融資等を実施しないこともありうる。」と規定されています。
同事業の融資調達期限が10月6日に迫るなか、JBICも決断を迫られる時期に来ていることが想定されますが、以下の状況に鑑み、JBICが環境レビューの結果を融資の意思決定に反映し、同事業への融資供与を拒否するよう要請致します。
(i) 同事業に関し、住民が異議申立書のなかで指摘した多くのJBICガイドライン規定違反の状況は依然として改善・解決されていない。
(ii) 同申立書の内容がプロジェクト実施主体に伝えられた後も、適切な環境社会配慮がなされていない状況が続いている。
(iii) 同事業において重要な役割を担うプロジェクト実施主体、および、相手国政府の実行意思・能力に照らし、融資決定後も適切な環境社会配慮が確保されるかについては、極めて疑問が残る。
日本政府、および、JBICは、本件のような地元住民に対する甚だしい人権侵害を引き起こしている事業に加担するのではなく、毅然とした態度で融資の意思決定を判断していただけますよう、よろしくお願い致します。
本レターは以下のYY団体から賛同を得ています。
国際環境NGO FoE Japan
インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
…
…
【連絡先】
国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江秀枝)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
Cc: 伊藤忠商事株式会社 代表取締役社長 岡藤 正広 様
電源開発株式会社(J-POWER) 取締役会長 前田 泰生 様
電源開発株式会社(J-POWER) 取締役社長 北村 雅良 様
株式会社三井住友銀行 取締役会長 北山 禎介様
株式会社みずほ銀行 取締役頭取 林 信秀様
株式会社三菱東京UFJ銀行 頭取 平野 信行 様
(以上)
>バタン石炭火力発電事業の詳細については、こちら