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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
JBIC実査に関する公開質問をJBICに提出
電源開発(J-Power)、伊藤忠が出資を決め、国際協力銀行(JBIC)、民間銀行団が巨額の融資を検討中の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」について、5月18日からJBICが環境社会面に関する現地実査を行なったようです。
しかし、今回の実査でJBICは、これまで4年間、農業や漁業など生計手段の喪失等を懸念し、根強い反対運動を続けてきた住民グループなどには会わぬままでした。この住民グループが、昨年、今年と2度にわたり、JBICにレターを提出し、自分たちの懸念を直接聞くよう求めていたにもかかわらずです。
こうした状況を受け、本日、日本のNGO4団体(国際環境NGO FoE Japan、インドネシア民主化支援ネットワーク<NINDJA>、「環境・持続社会」研究センター<JACSES>、気候ネットワーク)からJBICに対し、公開質問を提出。実査におけるヒアリング対象者や内容などについて、1週間以内の書面回答を求めました。
>以下、公開質問の全文です。(PDFはこちら)
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国際協力銀行
代表取締役総裁 渡辺 博史 様
JBIC実査に関する公開質問
現在、国際協力銀行(JBIC)が融資を検討中の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」については、これまで、現地バタン県のウジュンネゴロ村、カランゲネン村、ポノワレン村、ウォノクルソ村、ロバン村の住民から成るグループUKPWR協会(Paguyuban UKPWR)から貴行に対し、2014年3月14日付、および、2015年4月9日付のレターが提出されています。これらのレターのなかで同住民グループは、『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)との整合性の観点から、事業に反対する住民への深刻な人権侵害の状況、また、農業・漁業など生計手段の喪失等の問題について、貴行が事業施主体や中央・地方政府のみに確認するのではなく、実地調査において、事業の影響を受ける住民から直接話を聞くよう求めてきました。
こうした点について、貴行がすでに2013年7月に環境レビューの一環で行なった実査では、住民へのヒアリングは行なわれなかったものの、2015年3月26日の参議院・財政金融委員会での質疑において、貴行は今後、実査を改めて実施し、必要に応じて関係機関や住民等とのヒアリングも行なう考えを示しました。また、貴行の所管官庁である財務省からも、同委員会にて、「JBICがガイドラインに則って、現地住民の声をよく聞きつつ、適切に環境社会配慮確認を行なうよう監督していきたい」との答弁がなされました。
ところが、先週(2015年5月18日の週)、上記住民グループから日本のNGOにもたらされた情報によれば、先週、貴行がバタン県に視察・会合に訪れた際、同住民グループへのヒアリング等は行なわれず、彼ら自身から貴行に対し、人権侵害の状況や生計手段の喪失等の懸念を直接伝える機会は持たれなかったとのことです。
こうした状況を踏まえ、今回の貴行による実査の方法・内容に関し、下記の点を質問させていただきます。貴行におかれましては、下記をご査収いただき、1週間以内に書面による御回答を示していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
1. 実査の実施体制
(貴行からの調査参加者の構成、外部専門家等の調査への参加、その他の同行者、通訳の体制等)
2. 実査の期間、行程
(日数、ヒアリング時間、訪問場所等。特に、2015年4月上旬からの工事において、未売却にもかかわらず、土を入れる等の作業がなされ、また、灌漑用水へのアクセスが不十分のままであるとの報告がなされている農地を含むか否か)
3. 実査全行程における各ヒアリング対象者
(各ヒアリング機会への参加者の構成・人数。特に、土地未売却の地権者、借地農家、農業労働者、漁業従事者を含むか否か)
4. 上記各ヒアリング対象者への連絡手段
(どのようなルートでヒアリング機会を設定したか/ヒアリング参加者を招待したか、その経緯等を含む)
5. 各ヒアリングの内容、および、貴行の所見
国際環境NGO FoE Japan
インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
【連絡先】
国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江秀枝)
Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様
JBIC環境ガイドライン担当審査役
(以上)
>バタン石炭火力発電事業の詳細については、こちら